「池林房には、サラリーマンになった大学の先輩などに連れていってもらっていたので、自然とここにも30年前の開店時から通っています。還暦祝いもここでやろうかなんて、仲間内で笑っています」
「僕の何かを見てもらっているんでしょうね。下手な演技を、若いころはうまく見せようと思っていたけど、いまは開き直ってます。ようやく出演依頼が増えてきました(笑)」
「いろいろな役で出演しているせいか、顔は認知されているのかなと思います。でも、名前は覚えられていないのでしょうね。街を歩いていても『あ、見たことある』みたいな反応が多いですから。
「カメラマンなど “作り手” になりたかったんです。それが、大学2年のとき、学生劇団の舞台照明を手伝うことになった。
「そのとき見たのが『小百合さんのビル・エバンス』(1987年、鈴木聡演出)。感動して『この劇団、もしかしたら売れるかもしれない』と入団を決意したのですが……(笑)」
「芝居が好きなんです。単純に。売れないときも悲壮に感じたことはないです。ずっと昔にほかの役者さんと比較することをやめて、自分を褒めることにしましたから」
「芝居仲間が次々とテレビに出るようになっているのに、気がつけば僕は、取り返しがつかない年齢になっていた。沼の中にズブズブと入っていく感じがして、もがきました。
『盤上の向日葵』(NHK)で演じた酒場のマスター役姿を自撮り
「緒形拳さんと大杉漣さんが出演されていました。お2人が休憩のときに、ベンチでタバコを吸っていて、僕も近くでご一緒させていただきました。芝居の話などまったくしないんですけど、ひとつひとつの仕草で『いい役者になるイメージ』を勉強させていただきました。
「17時の出番を『夜7時』だと勘違いしてしまい、中空き(待機)のとき家に帰ってしまったんです。家に電話が入り、真っ青になり現場に戻りました。
「引退するときまで、この気持ちのままでいたいんです。それで歳をとったら、のんびり生きていきたい。中古のキャンピングカーを買って全国を飲み巡りして、地方で演劇をしている人たちと飲んだり、一緒に芝居をしたりするくらいがいいですねぇ」
おかやまはじめ
1964年4月22日生まれ 宮城県出身 1987年に劇団「ラッパ屋」に入団し、以降のほぼ全作品に出演している。10月4日より公開の映画『劇場版SOARA「LET IT BE ー君が君らしくあるようにー」』(伊藤秀隆監督)に出演中
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(週刊FLASH 2019年10月22・29日号)