2021年の全豪オープンで2年ぶり2度めの優勝を果たし、WTA世界ランキング2位(5月25日現在)の大阪なおみ(23)が、世界の女子スポーツ選手のトップに躍り出た。
スポーツ経済を扱うアメリカのメディア「スポーティコ」は、5月25日に2021年度版のスポーツ選手長者番付を発表。大坂なおみは年収5520万ドル、日本円にして約60億円と女子選手最高額となり、全体でも15位にランクインした。同じテニスの錦織圭は、2660万ドル(約29億円)で88位だった。
大坂の年収の内訳は、賞金が約5億7000万円で、スポンサーとの契約金などが約54億円となっており、いかにコマーシャルやスポンサーからの収入が多いかがわかる。ちなみに、2020年の同時期に発表された年収は約40億円。つまり1年間でプラス20億円、単純計算で1.5倍となったわけだ。ではなぜ、大坂はそんなに収入を増やすことができたのか?
「1年間の試合における賞金額そのものは、前回とほとんど変わらない金額です。その賞金額だけでも日本の女子アスリートではダントツで、全英オープンを制したゴルフの渋野日向子でも、さすがにそこまでは届いていません。大坂の収入増のほとんどは、いわゆるスポンサー料金によるものです」と語るのは、スポーツマネージメントに詳しい関係者。やはりスポンサーからの収入がほとんどを占めるわけだ。
メジャーリーグやNBA、欧州リーグのサッカーなど、世界中で多くの人気選手が活躍しているが、テニスプレイヤーは “稼げるアスリート” として、複数の選手が上位にランクインしている。その理由は?
「テニスの試合は相手と2人だけですよね。それは、テレビ中継で何時間も画面を独占できるというアドバンテージになります。いい例が腕時計です。テニスプレイヤーはウエアのほかに、ラケットを持つ手元がよく映るので、本来は試合に必要ないはずの腕時計をしています。
同じようにアピールができるという理由で、よく見るとゴルフプレイヤーも腕時計をしていますよね。試合中継中に手元が映ると、その商品にも注目度が高まることから、スポンサーが群がるんです」(スポンサーに詳しい大手広告代理店関係者)
では、大坂のスポンサー料の内訳は?
「彼女の場合、いちばんの “得意先” はナイキです。2019年、それまで契約していたアディダスから、電撃的にナイキと契約しました。アディダスの年間契約が9.5億円でしたので、ナイキはそれ以上です。ちなみにアメリカで育った大坂にとって、ナイキは憧れだったんですね。
さらに基本契約のほかに、たとえば優勝した際のボーナスもあります。
腕時計でいえば、初めて全米オープンを制覇したとき(2018年)は、CITIZENの『エコドライブ』のイエローベルトを愛用していて、その時計に人気が殺到しましたが、2021年に入って世界ブランドのタグ・ホイヤーに契約を変更しています。
それだけで5億円以上でしょう。この2つのスポンサーだけで、おそらく20億円にはなろうかと。
ほかの契約スポンサーも横並びとなれば、賞金以外で50億円ということになるのではないでしょうか」(前出・大手広告代理店関係者)
これだけ大手企業がスポンサーに名乗りをあげるということは、彼女にそれだけの “商品価値” があるということだろうか?
「大坂の場合は、全米で論議が沸騰している『Black Lives Matter』の代弁者として、社会運動の一翼を担うアイコンになっています。ナイキを始めとした世界企業は、このムーブメントに賛同していますので、彼女ににとって、この社会運動が年収アップの “上げ潮” になっているんです。もちろんその影響力は、本業であるテニスが強くなければ成立しないんですけどね」(同前)
テニスの実力だけでなく、その発言やファッションにも大きな影響力を持つ大坂。テニス界の新しいミューズとして、全仏オープンでの活躍が期待される。
外部リンク