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しみけん「普通のセックスと妊活のセックスって、気持ち的には全然違うよね」
はあちゅう「うん。そもそも4年もつき合ってたから、体の関係はわりと落ち着いてたもんね。だけど妊活は完全にミッションだし、作業。挑まなきゃいけない」
しみけん「僕がAVの現場にいるときに、はあちゅうと共有のグーグルカレンダーの『招待』がスマホに届いた。スケジュール名は『子作り』(笑)。『承認』すると、5日間くらいスケジュールが押さえられたよね」
はあちゅう「帯で何日か押さえておかないと、ベストのタイミングを逃しちゃうからね。排卵日の、前後数日」
しみけん「僕、子作りのときに『行けーーーー』って言ってたもんね(笑)。精子を鼓舞するために」
はあちゅう「色気とか一切なし。だから、寝室でけんちゃんの勃起の準備ができたら、『用意できたよ』って声がかかり、私が寝室に入る」
しみけん「まるで『現場入り』。『はあちゅうさん、入られました~』(笑)」
はあちゅう「そうそう。私はけんちゃんがだいたい何分くらいで準備できるかを見計らって、シャワーを浴びて……。
しみけん「ただ、いくら『ベストタイミングが今夜』だったとしても、昼間に撮影を3つとかこなした日の夜は、さすがに辞退してたかな。
はあちゅう「まわりで妊活を頑張ってる人たちから、『旦那さんが勃たなくて苦労してる』って話をよく聞くんだよ。
しみけん「勃たないだけならいいんだけど、奥さんが旦那さんに『触れられるのも嫌だ』っていう、深刻なセックスレスもあるんだよね。
はあちゅう「段階を踏ませるんだ」
しみけん「愛情で触れるのではなく、『薬を塗る』という理由を作ってやる。それができたら、マッサージとかで触れる面積と時間を増やして、最終的には『奥さんの顔に枕をあてるとかして、お互い顔が見えない状態で、旦那さんがAVを見るなりしてトライしてみてください』と」
はあちゅう「うちはその点、けんちゃんがプロだったことで助かりました。ただ、去年の秋くらいからは私、すごく自分を責めるモードになっていたんだよね」
しみけん「なんで?」
はあちゅう「だって、けんちゃんは前の奥さんとの間にお子さんもいるから、おそらく生殖機能に問題はないでしょ。やっぱり私の子宮が弱いんだって思っちゃって。
しみけん「『気にするとよくない、自然体がいちばん』って僕は言ってたけどね」
はあちゅう「けんちゃんはめっちゃポジティブで、『また次、頑張ろう』って言ってくれた。『健康な男女でも、1年くらいは時間がかかったりするもんだから、焦るな』って。私はすごく暗くなるから、底抜けにポジティブなけんちゃんに救われたよ」
しみけん「ポジティブな感情、プラス具体的な情報を与えるのが重要だと思う。『頑張れ頑張れ』って言っても、何を頑張ればいいかわからない。事例を挙げながら、頑張る方向性をちゃんと明示してあげないと」
はあちゅう「ダメだったときは、お寿司を食べに行く予約を入れたんだよね」
しみけん「それで、『今月も頑張ろう』って気になってくれた」
はあちゅう「ただ、子供が欲しいと思っていた時間が長かったし、文字どおり『一発でできてる』友達も周りにいたから、たった数カ月でも、ぽきっと心が折れちゃったんだよ。それでエコーで卵巣を診てもらって、卵子の育ちを確認して、タイミングを特定して……という、タイミング法をやりはじめた。
しみけん「そうそう。『排卵前のベストタイミングって、そんなに短い日数なんだ』とか」
はあちゅう「『子供を作るということは、けっして当たり前ではない、難しい』ってことを、けんちゃんと学べたのはよかったかもね」
しみけん「不妊治療で病院に通って、体外受精を試みてる芸人さんの知り合いがいるんだよ。その彼が、病院で僕が出てるAVを見て精子を採取しようとしたそうなんだけど、主演(女優)のあいだゆあちゃんがエロすぎて、思わずティッシュの中に出しちゃったんだって。僕が文句言われたよ(笑)」
はあちゅう「あらら……」
しみけん「病院に自慰しに行っただけだった(笑)」
はあちゅう
1986年、神奈川県生まれ 慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。会社員経験を経て、2014年、フリーに。ブログ「旦那観察日記」で、夫婦生活を鋭意発信中
しみけん
1979年、千葉県生まれ 1998年にAVデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。最新刊『しみけん式「超」SEXメソッド』(笠倉出版社)が発売中
取材&構成・稲田豊史
(週刊FLASH 2019年10月1日号)