「まだ三役クラスは雲の上。力の差は感じますけど、今はとにかく稽古しかないです」
七月場所で初優勝を飾った御嶽海(25)が、かつて本誌にそう語ったのは2015年12月。学生横綱のタイトルを引っ提げてプロ入りし、出世のスピードに髪が伸びるのが追いつかず、ようやく髷を結えるようになった直後のインタビューだった。
あれから2年半。ついに、賜杯を手にした。九月場所は、いよいよ大関獲りに挑戦だ。
本誌は何度も御嶽海にインタビューをおこなってきたが、それらを読み返すと、意識の変化が窺える。
「大関ですか? 特に意識はないですよ。ないですけど、一番一番白星を重ねていけば、いつかそこに辿り着くんじゃないですか」(2017年2月)
「この地位(4場所連続関脇・当時)にいるわけで、上(大関)を目指さなければいけないのは必然ですから。まあ、言葉で言うよりも『今年なっちゃうんだろうな』くらいの気持ちでいきます」(2018年1月)
思えば、最初のインタビューから、初々しさのなかにも、溢れる自信を感じさせるオーラがあった。口癖は、「自信がなければこの世界(プロ)に入ってないですよ」。
だが土俵を離れると、その素顔はいたって陽気だ。
「最近はどこへ行っても『あ、御嶽海だ』って言われるようになったんですよ。でも、全然モテないんですよね。バレンタインもチョコ5、6個ですから。もうちょっともらえると思ってたんですけどね……。ああ、モテたいな。モテてみたいな〜」(2017年2月)
その性格は、フィリピン出身の美人ママ・マルガリータさんから受け継いだようだ。
「ヒーくん(本名は大道久司)は、元気で遊びまわる子だったけど、家事もよく手伝ってくれました。今でも帰ってくると、『ママは休んでて。僕が食器洗うから』と言ってくれます。料理も得意で、エビチリとか天ぷらとか作ってくれるんですよ」
元横綱・日馬富士のファンだったというマルガリータさんだが、本場所中はたびたび客席から愛息に声援を送る。
長野県出身力士の優勝は208年ぶり。史上最強といわれ伝説の力士・雷電爲右衛門以来というから、大相撲の歴史に刻まれる快挙だ。
(週刊FLASH 2018年8月7日号)