お笑いコンビ「ナインティナイン」の岡村隆史が、右足のアキレス腱を断裂したことが10月11日、発表された。10日の番組撮影中にケガをしたといい、番組を企画する「ドコモ・スタジオ&ライブ」の公式サイトが発表した。
10月12日放送の『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送ほか)では、「あまり痛みはなかった」と、負傷した瞬間を振り返っている。
アキレス腱断裂というと激痛を想像するが、実際のところはどういった症状なのか。福住整形外科クリニック院長・亀田和利医師に聞いた。
「アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)をかかとの骨につなぐ腱で、足首を曲げたり、伸ばしたりする動作に重要な役割を果たしています。アキレス腱断裂の症状としては、その瞬間に強烈な痛みを感じることが一般的です」
亀田医師がこれまで診察したアキレス腱断裂の患者には、共通する主訴があるという。
「当院に来院される多くの患者さんが、自分の足首の後ろを誰かに蹴られたと感じるようです。しかし、実際には、振り向くと誰もいない。それで驚かれる方も多いです。
断裂した後は、何とか歩けることがありますが、ベタ足歩行となる場合がほとんどで、つま先立ちはできません。また、アキレス腱断裂は、30~40歳代の男性に起きやすく、女性の6倍といわれます」
アキレス腱断裂は、スポーツ活動中のケガとしてよく知られており、急な方向変更、ダッシュ、ジャンプなどアキレス腱に負担のかかる動作で起こりやすい。岡村といえば、芸能界屈指の運動神経の持ち主であるが、運動能力とアキレス腱断裂に関連性はないようだ。
「ストレッチを十分におこなわずにスポーツをすることは、アキレス腱への負担も大きくなります。アキレス腱の断裂を予防するためには、ふくらはぎ(下腿三頭筋)のストレッチや筋力トレーニングを日ごろからおこない、柔軟性や筋力を保つようにすることです」
岡村は「運動以外はできますので、できる範囲でやらせてください」と、仕事への意欲を見せているが、無理は禁物だ。
「アキレス腱断裂後に無理をすると、再断裂をするリスクがありますので、しっかりと治療することが大切です。治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。保存療法は、6~8週間のギプス固定や装具による固定で、アキレス腱に負担がかからないように、自然治癒を待つ方法です。リハビリをおこなうことで、一般的に3カ月で正常な歩行が可能になり、スポーツへの復帰は6カ月以降となる場合が多いです。
手術療法は、断裂した腱を縫合して、元どおりにつなぐ方法です。再断裂を起こすリスクが比較的、低く、早期からリハビリテーションが可能であり、一般的に正常な歩行は術後2カ月で可能となります。手術療法でも、スポーツ復帰は、少なくとも4カ月程度の治療期間を要することが多いです。いずれも、多くの患者さんが元の活動レベルに戻ることができます」
岡村には、万全の状態で復帰してもらいたいものだ。
取材・文/吉澤恵理
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