本誌が目撃した “令和の怪物” の足取りは、重かった――。千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手(19)の1年めは登板ゼロで終了。さらに、11月7日には井口資仁監督(45)から、「みやざきフェニックス・リーグ」への派遣見送りも明言されてしまった。
「監督は『状態が上がっていない』と話すだけで、何がダメかの説明もない。本当のことがわからない」(専門誌記者)
佐々木はシーズン開幕から、二軍登録のまま一軍に同行させる、異例の方針が貫かれた。その一方、2020年1月に入寮した埼玉県内の選手寮で生活してきた。同僚の多くは近所の二軍球場で練習、試合に励んでいるため「ひとりだけ浮いている」という状況が続いてきたのだ。
10月末から二軍に合流したが、わずか数日で入れ替わるように、二軍の大勢はフェニックス・リーグが開催される宮崎県へ向かった。「でも、佐々木は大丈夫なはず。彼は “陽キャ” だからね。2019年のU−18W杯の韓国遠征では、初対面のチームメイトともじゃれ合っていた」と前出の専門誌記者は言う。
だが、寮近くの選手行きつけの飲食店の店主に聞くと……。
「基本的に、彼は寮でご飯を食べていると、ほかの選手が話してくれたけど、佐々木君はうちに来たことがないんです。大事にされているんだろうけど、一度来てほしいですね」
近所の別の店主も、「ロッテ選手は複数人で来てくれることが多いんです。佐々木君は、まだ来てないですね」と話す。
人知れず、二軍で “ぼっち化” しているのでは――。あるプロ野球OBも心配する。
「一軍にいても試合に出られず、二軍にも合流できないというのは、佐々木がかわいそうです。
一軍で彼を見る吉井理人コーチには、大谷翔平らを育て上げた実績がありますが、二軍選手のはずの佐々木を指導できない二軍コーチからしたら、おもしろくない。『俺たちはなんなんだ』といった不満の声も聞こえているので、彼がコーチたちの板挟みにならなければいいのですが……」
11月10日、数人の選手と練習をともにしたこの日も、佐々木は冒頭のように “ひとり” 歩いて、二軍球場入りをした。練習での佐々木はキャッチボールどころか、グローブすら持たない。こなしたのは種市篤暉投手(22)と同じ、下半身強化中心のメニューだ。
種市は2019年に8勝をあげたが、2020年9月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、術後4カ月間のスローイング禁止中だ。佐々木は2019年7月に高校野球岩手県大会決勝で登板を回避して以来、たびたび “右肘の違和感” が噂されるが、種市と同じ “リハビリメニュー” での練習とは――。
野球解説者の江本孟紀氏(73)は、現状をこう推測する。
「投球練習をしていないのであれば、どこか重大な “欠陥” があると勘繰られても仕方ないでしょう。佐々木については、僕はとても中途半端な状態になっていると思う。もし『大事に育てているだけ』というのであれば、ロッテも『3年後の一軍登板を目指す。今は強化のとき』と、対外的にアナウンスすればいいことです。
それに、鍛えるといっても、ロッテの場合は大事にしすぎて、鍛えてすらいない。厳しく鍛えると故障すると思っているから。『プロに入ったなら、故障を怖がるな』と言いたいよ」
木枯らし吹く二軍で――。佐々木には、“忍耐の季節” が訪れる。
(週刊FLASH 2020年12月1日号)
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