写真・Peter Cook
秋といえば読書、食欲、スポーツとさまざまな楽しみがありますが、今日は芸術の秋にふさわしい美女をご紹介いたします。
最近、家から徒歩10分のダンススタジオに通っておりますが、そこに毎日のように通っているパワフルでミステリアスな美女がいます。
以前から気になっておりましたので、勇気をもってどのようなお仕事をされているのか尋ねてみましたところ、アートディレクターという何やらお洒落な横文字が返ってきました。
今回ご紹介するのは、アートディレクターの岩崎桃子さんです。
具体的に何をされているのかというと、外国人カメラマンのプロデュースとマネジメントだそうです。なかでも活躍している2トップは、セレブリティカメラマンとして有名なデヴィッド・ステットソンさんと、新国立競技場の設計者・隈研吾さんの建築を撮っているピーター・クックさんです。
今日は、神宮前のBOOKMARKで11月17日まで開催されている写真展「A Bear in the Year of the Boar:The World According to Kengo Kuma by pm cook」のオーニングパーティ会場にお邪魔しました。
いつもストイックな雰囲気を醸し出している岩崎さんのパワフルさは、彼女のタフな人生経験から培われたものでした。
埼玉県の私立高校からニューヨークに渡り、コロンビア大学で障害者教育を専攻。しかし、突然、お父様の会社が倒産したことで、大学を中退、帰国を余儀なくされたのです。
帰国後は家計を助けるため、昼は外資系の金融機関でOL、夜は別のアルバイトとWワークの苦しい生活を送っていました。
ですが、仕事中にも取り立ての電話がかかるようになり、やむなく税理士事務所に転職します。ここでの仕事はかなりハードで、心身ともに限界を迎え、ある日、銀座線のホームをボーッと歩いていたところ、線路へ転落。間一髪のところを、2人のビジネスマンが両肩をつかんでホームに引っ張り上げてくれたそうです。
このようなギリギリの生活を送っていたにもかかわらず、岩崎さんは、プロのクライマーの友人と、障害を持つ方々の登山をサポートするプロジェクトを立ち上げました。
「冬の山って本当に綺麗なんですよ。一度、行ったら病みつきになります。今度、行ってみませんか?」とお誘いいただきましたが、寒い雪山から生きて帰れる自信がないので、お写真を楽しみに待っております。
彼女のキャリアに大きな転機が訪れたのは、この後でした。デヴィッド・ステットソンさんが日本事務所の社長を探していると友人から聞き、代表を務めます。さらにその後、ピーター・クックさんとも知り合い、事務所を立ち上げました。大手ホテルや国際的な芸術機関とお仕事をしているそうです。
「実は来年、ピーターがロンドンの『建築家協会王立研究所』で個展を開くんです。これは日本でいうと国立美術館のアーカイブに入るくらいすごいことなんです」
これまで苦労されたぶん、快進撃を遂げそうな予感がします。この記事の冒頭の写真は、ピーターさんに撮っていただいたスナップですが、将来、家宝になるやもしれません。
「これからの人生は社会貢献をしていきたいです。貧困に苦しむ子供たちや、障害を持つ方々のために、なにかできることはないか模索中です。日下さんもご一緒にやりませんか?」
かしこまりました。雪山は無理ですが、子供たちや動物を救うためでしたら、微力ながらお手伝いさせていただきます。次回のレッスン帰りに、一杯やりながら打ち合わせしましょう。
●日下千帆(くさかちほ)
1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社し、編成局アナウンス部に在籍。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。2012年より、東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当
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