小津安二郎のカラー映画のきもの制作などで知られる浦野理一。きもの作家であると同時に染織研究家でもあった浦野のきものは、愛好家の間でも憧れの存在だ。
温かみのある独特な風合いをもつ浦野理一の研究と足跡は、息子の範雄に引き継がれ、「浦野染織研究所」において制作が続けられてきた。しかし2016年、諸事情により工房は閉鎖され、長年蓄積された膨大な染織資料は銀座のアンティークきもの店「灯屋2」へと受け継がれることに。その中には膨大な量の試し織や試し染、見本裂の数々が残されていた。
灯屋の店主・渋谷公子は、その小布や小裂を再び生かすべく、新しいきものや帯を作ることを思い立つ。こうして継がれてできたきものや帯は、浦野の布のもつ独自の力強さはそのままに、まったく新しい「継ぎ着物」「継ぎ帯」として新たな命を得ることになった。会場では着物40点余、帯60点余に加え、同じく浦野の小布を使ったバッグや和装小物が展示、販売される。また浦野理一・範雄親子の熱意が込められた「裂帖」など貴重な資料も展示予定。時代を経て受け継がれる布の魅力に触れてみて。
会期:2020年11月21日(土)〜26日(木)
会場:銀座洋協ホール
東京都中央区銀座6-3-2 ギャラリーセンタービル6階(泰明小学校向かい)
texte : JUNKO KUBODERA