7月23日から開催される「東京2020オリンピック」。選手やスタッフが身に纏うユニフォームや衣装は、五輪を華やかに彩る目玉の一つです。今年はどのブランドやデザイナーが手掛けているのでしょうか。開催国日本をはじめアメリカやイタリア、リベリアなど各国のユニフォームや衣装をまとめて紹介します。
(最終更新7月5日18時12分)
◆日本
開催国日本のオフィシャルウェアは、ゴールドパートナーの「アシックス(ASICS)」が提供。「ジャポニズム」をテーマに、日本の伝統美と先端技術を掛け合わせ、選手団の強さを表現しています。メインカラーは「サンライズレッド」で、新デザイン「ジャパンチームキーグラフィック」をグラフィックに採用。このほか、組織委員会のデザインチームと共同で大会スタッフと都市ボランティアが着用するユニフォームポロシャツやパンツ、シューズ、ハット、ジャケット、ソックスなど計8点を製作しました。競技別では陸上やレスリング、野球など7つの競技用ユニフォームを提供しています。
オリンピック、パラリンピックともに聖火ランナーのユニフォームは「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」を手掛ける尾花大輔がデザイン監修を担当しました。
公式行事の出席時と開会式時に着用する公式服装は、オフィシャルサポーターを務めるAOKIが担当しました。開会式用服装は、日の丸カラーの白と赤のセットアップで、ジャケットには日本古来の伝統柄で縁起が良いとされる「工字繋ぎ」を陰影でプリント。式典用服装は紺と白を採用し、「力強く爽やかなフォーマリティ」をテーマに仕立てています。
表彰式でメダルやギフトを運ぶトレイベアラーや、エスコートを務めるボランティアの衣装はファッションディレクター山口壮大が担当。「新しい礼服」をコンセプトに、「かさね」「おり」「結び」「染め」といった和装の伝統技術を取り入れつつ、暑さ対策など洋装の機能性を兼ね揃えたデザインに仕上げました。
畑岡奈紗の代表入りが確定しているゴルフ代表のユニフォームは「デサント ゴルフ(DESCENTE GOLF)」が提供。高みを目指して挑戦する姿勢を右斜めに上がるラインで表現し、赤と白のほか、日本の海や桜をイメージした青とピンクを使用して全5種類を用意しました。このほか、デサントは日本代表のBMXレーシングウェアも製作。ゴルフウェアと同様に、高みを目指して挑戦する姿勢として右斜め45度に上がるラインをデザインしました。
東京オリンピックからの新競技スケートボードの日本代表ユニフォームは「ナイキ SB(NIKE SB)」が製作。オランダ人アーティストのピエット・パラ(Piet Parra)がデザインを担当し、日本のスケートパークやショップで感じたスケートシーンからインスピレーションを得て、日常的なスケートアパレルに近いデザインを取り入れています。6月に開催されたスケートボード・ストリートの世界選手権で優勝した堀米雄斗選手などが着用する予定です。
バスケットボールも「ナイキ(NIKE)」が担当。日本の国旗をイメージした赤と白をメインカラーに、100%リサイクルポリエステルで製作しています。男子代表では、NBAで活躍している八村塁選手や渡辺雄太選手などが選出されています。
7人制男女ラグビー代表のジャージは「カンタベリー(CANTERBURY)」が提供しています。
◆アメリカ
閉会式のユニフォームは2008年以来オリンピックとパラリンピックで公式ユニフォームを提供している「ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)」が手掛けました。ユニフォームのメインカラーはホワイト。ドローストリングジャケットやストライプのベルトには、ペットボトルから再生されたリサイクルポリエステル「Repreve®️」を、ポロシャツやシューズ、マスクにはアメリカ産のコットンを採用しました。スリムなシルエットのホワイトデニムパンツにはサステナブルな皮革代替素材「MIRUM®」のバックパッチがあしらわれています。
スケートボードのユニフォームは日本と同様に「ナイキ SB」とパイエット・パラが共同でデザイン。バスケットボールのジャージがデザインソースとなっており、国鳥のハクトウワシをモチーフにしたグラフィックをあしらっています。ストリート男子には、スケートボード界の絶対王者と称されるナイジャ・ヒューストン(Nyjah Huston)が選ばれています。
「ナイキ」はこのほかバスケットボール代表と、陸上代表のユニフォームもデザインしました。バスケットボール男子代表には、ケビン・デュラント(Kevin Durant)やデビン・ブッカー (Devin Booker)、ジェイソン・テイタム(Jayson Tatum)、デイミアン・リラード(Damian Lillard)といったスター選手たちが名を連ねており、ラインナップの豪華さから注目を集めています。
前回リオデジャネイロ大会で112年ぶりに五輪に復活したゴルフは「アディダス(adidas)」が提供。デザインはアーティスト 高橋理子が担当し、「無限の可能性」をテーマにした円と線のグラフィックを配しています。
キム・カーダシアン・ウェスト(Kim Kardashian West)が手掛ける補正下着ブランド「スキムズ(SKIMS)」は、チームUSAの肌着、パジャマ、ラウンジウェアを製作。星条旗や五輪モチーフ、「TEAM USA」ロゴなどをデザインしています。
◆イギリス
オリンピックのイギリス選手団チームGBが、開会式と閉会式で着用する制服はマーク・ウィリアムズ(Mark Williams)率いる「ベンシャーマン(BEN SHERMAN)」が製作。ベンシャーマンを象徴するハリントンジャケットのユニフォームに、かつてイギリスの国章であったライオンのエンブレムをデザインしました。エンブレムにはユニフォームのインスピレーション源となった「Strength Through Unity」というワードが、レトロなフォントでプリントされています。
公式ウェアは、平昌オリンピックに引き続き「アディダス」が提供しています。
◆オーストラリア
オーストラリアオリンピック委員会(Australian Olympic Committee)のオフィシャルチームパートナーを務めるアシックスが手掛けたユニフォームは、ナショナルカラーのグリーンとイエローを基調としたデザインに仕上げられています。
開会式で着用する制服は100年以上の歴史を持つ「スポーツクラフト(Sportscraft)」が製作。グレーのジャケットにはこれまで金メダルを獲得してきた320人のオーストラリアの選手名がデザインされています。フットウェアは、オーストラリアの国民的シューズブランド「ボレー(Volley)」が提供しています。
水泳のユニフォームは「スピード(Speedo)」が担当しました。
◆スウェーデン
スウェーデンの公式ウェアは、2013年から数えて3大会連続でユニフォームを手掛けた「H&M」に代わり「ユニクロ(UNIQLO)」が製作しました。素材には「ドライ EX」「ウルトラストレッチ」「エアリズム」「UV カット」などユニクロの高機能素材を使用。スウェーデンの国旗色のブルーとイエローに加え、ライトグレーをメインカラーに採用しました。
◆カナダ
カナダ代表の公式ユニフォームはカナダの老舗百貨店「ハドソンズ・ベイ(HUDSON'S BAY)」が担当しました。最も注目を集めているモデルは、閉会式で着用するデニムジャケット。カナダのモチーフであるメープルリーフに加えて、「Canada」「Tokyo」「カナダ」の文字を落書き風にデザインしました。
◆イタリア
イタリアは「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」のスポーツライン「エンポリオ アルマーニ EA7(EMPORIO ARMANI EA7)」が、選手団の公式ユニフォームを担当。イタリアを象徴する緑、白、赤の3色が、トップスのフロントやボトムスのサイドラインにあしらわれています。
◆ロシア
前回大会でドーピング問題を理由に国旗の色を使った公式ユニフォームの使用の承認が得られなかったロシア。今大会では国旗の使用は認められなかったものの、ナショナルカラーの採用は承認されました。デザインは、前回の平昌オリンピックに引き続き「ZASPORT」が担当。ユニフォームには国旗の代わりに「ロシアからのオリンピック選手」を意味する「OAR(Olympic Athlete from Russia)」のロゴがあしらわれています。
◆ポルトガル
公式ウェアは、地元ポルトガルのブランド「Decenio」が提供。ネイビーブルーとホワイトを基調とした制服には100%オーガニックのコットンを使用しています。
◆オーストリア
スポーツブランド「エリマ(erima)」はオーストリア選手団の公式ウェアを製作。ボディに大胆に配したレッドが目を引きます。
フットウェアは「サロモン(SALOMON)」からトレイルランニングシューズ「SENSE RIDE 3」と「SENSE RIDE 4」、日本国内未発売ランニングシューズ「INDEX01」が提供されています。
◆韓国
韓国選手団が開会式と閉会式で着用するスーツをデザインしたのは「KOLON Industries FnC」機構の紳士服ブランド「CAMBRIDGE MEMBERS」。ジャケットの胸元には韓国の国旗をデザインし、パンツはホワイトで仕上げました。
競技別ではサッカー代表のユニフォームをナイキが製作。国旗のデザインをヒントにレッドのトリグラムパターンと、ペイント風のタイガーストライプデザインの2着を用意しています。
◆スロベニア
スロベニア代表の公式ウェアは、スポーツウェアブランド「ピーク(Peak)」が担当しました。ライトブルーやイエローグリーンの明るい色使いが印象的です。
◆リベリア
リベリア代表が開会式で着用するユニフォームは、アメリカのユニセックスブランド「テルファー(Telfar)」が手掛けました。テルファーのバッグ「The Shopping Bag」は日本含め、世界中の若者に人気で、今大会で着用するユニフォームにも注目が集まっています。
◆フランス
フランス代表のユニフォームは「ラコステ(LACOSTE)」が提供。ラコステを象徴するワニのマークが、フランスのトリコロールカラーで彩られています。
「ナイキ SB」とパイエット・パラは、フランスのスケートボードユニフォームもデザイン。左袖にフランスの国旗、左胸にルースターがあしらわれています。
◆フィンランド
アウトドアブランド「アイスピーク(Icepeak)」は、フィンランド代表のユニフォームを製作。フィンランドと大きく異なる高温多湿の東京の気候に選手が適応できるようにデザインしています。
◆ブラジル
アメリカとフランス同様に「ナイキ SB」とパイエット・パラが手掛けたスケートボード代表ユニフォームの着想源は、伝統的なサッカーウェア。ブラジルの国名コード「BRA」が左袖にデザインされています。