献立の食材をスーパーで選ぶ、2人の男性。ただの友人ではありません。
この2人は、男性同士のカップル。3年前に出会った、利政さん(仮名)と彰一さん(仮名)。お互いを“だんな”“おくさん”と呼び合っています。
「万が一離婚しても、こんないい奥さん、もう二度と出会えないよ」(おくさん・彰一さん)
「あんたもね」(だんなさん・利政さん)
「だから大切にしとるやん」(おくさん・彰一さん)
日本国内では、法的に同性同士の結婚は認められていません。しかし、2人にとって、お互いはかけがえのない存在。式は挙げませんでしたが、ウエディング写真も撮りました。
共働きの2人ですが、どんなに帰宅が遅くても食事はおくさんの手作りです。
2人がいま望むのは、“親になること”。しかし、子どもを授かることはできません。
そんな2人が希望したのは、“養育里親”。実の親元で暮らせない子どもを、原則18歳になるまで預かる制度です。しかしこれまで東海3県では、同性カップルが里親に認定されたことはありませんでした。
2019年9月、2人は県内の児童相談所へ養育里親になりたいと申請。里親制度は、各自治体が認定の判断をします。
過去には、2016年に大阪市が男性カップルを養育里親に認定し、実際に子どもを育てています。この地方の自治体もどう対応するか悩んでいました。
日に日に増す、“子どもを育てたい”という思い。
そして先月、自治体から里親に認定したという連絡が届いたのです。
「とりあえずよかったなって。でも認定がおりただけだから、すぐに子どもがくるわけではないし。来るための準備が整ったな」(だんなさん・利政さん)
国は養育里親の条件を、「経済的に困窮していない」こと、「子への愛情を持っている」こと、などとしています。そして、同性カップルを除外する規定はありません。
「男同士だから慎重に検討するとかにもなってないし、同性同士だからという議論はなかったみたい」(おくさん・彰一さん)
今回の自治体による認定判断も、子育ての環境が整っていることが理由のひとつでした。
「近所の公園にも遊びにいきたい。お菓子も“100円までだよ”ってやりとりしたい。あの机は子どもの学習机として、そのまま使ってほしいな」(おくさん・彰一さん)
子どもを預かる時期は未定ですが、準備をすすめている2人。
昔に比べれば社会の理解は進んでいるようにみえますが、同性カップルが里親になることには肯定的な意見ばかりではないことも覚悟しています。
「世間の目が気にならないってのはうそになるけど、気にしてはいけない。責任をもって預かるってことは、その子の幸せについて一生懸命考えないと」(だんなさん・利政さん)
“2人家族”から、子どもをむかえて”3人家族”へ。新しい家族のカタチです。
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