動物供養のお寺にお供えされているペットフード。「食品ロスになっていないか?」と気になった中学生が、古いペットフードを分けてもらえないか、企画書を書きお寺に提案しました。
女の子の手により、思いの詰まったペットフードに“次の役割”を与える活動が行われています。
江戸時代から動物供養のお寺として370年の歴史がある「長楽寺動物霊園」(名古屋・南区)。
この日、1組の親子が訪ねてきました。
「こちらがワンちゃんの分で、こちらがネコちゃんの分です」(長楽寺動物霊園 田口憲一郎さん)
「お預かりします」(宮原りあさん)
お寺から預かったのは犬や猫の「ペットフード」。親子がペットフードを預かるようになったきっかけは4年前の悲しい出来事でした。
名古屋市南区に住む中学2年の宮原りあさん。りあさんが産まれたときからずっと一緒で大好きだった愛犬の「りく」が、4年前14歳でこの世を去りました。
その後、家の近くの長楽寺で供養してもらい、毎日お参りをするようになった、りあさん。そのとき、お供えされているペットフードをみて「お供えのペットフードは食品ロスになっていないか?」と気になりました。学校の授業で食品ロスについて勉強したことを思い出したのです。
りあさんはさっそく、古いペットフードを分けてもらえないか、企画書を書いてお寺に提案。
お寺では一定期間お供えした後のペットフードは、動物愛護団体に寄付するなど食品ロスのない工夫をしていました。それでも…。
「こういう形の申し出は初めてなのでありがたい。(お供えのペットフードは)思いの詰まったものですので、大事に扱い社会貢献したい」(長楽寺動物霊園 田口憲一郎さん)
お寺もその思いに共感し、今年6月から月に1回、回収したお供えのペットフードをりあさんに預けることにしたのです。
お供えされていたペットフードを持ってりあさんたちが向かったのは、名古屋市千種区にある動物愛護センター。
ここは動物愛護や正しいペットの飼い方などを多くの人に知ってもらうための施設で、さまざまな理由で行き場を失った犬や、繁殖しすぎたネコなどの新しい飼主も募集しています。
お寺から預かったペットフードは、しつけトレーニングや薬を飲ませる際のおやつとして活用されているといいます。
「自分の周りだけに興味や関心がある世代だと思いますが、視野を広げて動物愛護に関心を持つのは本当にありがたい」(名古屋市動物愛護センター 新美陽子さん)
飼い主の思いの詰まったペットフードに次の役割を与える。りあさんの取り組みから見習うべきことがありそうです。