戦国武将たちが身に着けた、甲冑(かっちゅう)。三英傑ゆかりの地・名古屋で新たなブームを見せています。日本最大級の刀剣を展示した博物館が建設中。さらに手作り甲冑が歴女やコスプレファンの間で話題を集めています。
「名古屋市の白川公園からすぐ、こちらの高層ビルと隣の建設中のビルに来年、日本最大級の“ある博物館”がオープンするんです」(記者)
博物館は、名古屋市中区にある「白川公園」近くの28階建てタワーマンションの2階部分と隣の7階建ての建物に建設中。一体何ができるのでしょうか?
「刀剣を専門とした博物館『名古屋刀剣ワールド』が開設予定です。日本刀は最大200振り、加えて甲冑を約50領を展示する予定です」(東建コーポレーション 社長室 藤波誠洋さん)
来年6月の完成を目指しているのは、『名古屋刀剣ワールド』という日本最大級の刀の博物館。国宝や重要文化財の数々が展示されます。
その貴重なコレクション、実は今意外な場所にありました。
名古屋市中区にある会社「東建コーポレーション」。そのショールームの奥には、甲冑や日本刀の数々。これらは、コレクションのごく一部なんだそうです。
この刀剣コレクション、東建コーポレーションの社長が半世紀近くをかけて集めたものだといいます。
Q.東建コーポレーションの“東建”と刀の“刀剣”と関係ある?
「よく質問されるんですが、日本刀の“刀剣”と東建コーポレーションの“東建”は別で、たまたまです」(東建コーポレーション 社長室 藤波誠洋さん)
コレクションの中には、約900年前の平安時代に作られた刀の展示も。
来年オープンの狙いをこう話します。
「やはり東京オリンピックが(来年の)8月にあるので、その際に外国人観光客の方にも見ていただきたい」(東建コーポレーション 社長室 藤波誠洋さん)
プラスチック製の甲冑 歴史ブームで新展開
そんなブームを受けてか、名古屋市南区にある会社「森松」では、歴史にちなんだ新たな取り組みをしているといいます。
「こちらではプラスチック製品を作っています。用途としては袋ですね。いろんな雑貨の袋や文房具のファイルの袋です」(森松 森直樹社長)
作られていたのは、プラスチック製品。雑貨や文房具の他には床のキズを防止するマットや、鏡の曇り止め防止フィルムなどを作っています。
しかし、“歴史”に関するものは見当たりません。すると、プラスチックに穴を開け部品を切り取りました。
「もともとトラックの泥よけに使う素材なんですよ」(森松 森直樹社長)
今度はその部品にヒモを通し、つないでいきます。これは一体?
「はい、こちらです。プラスチックの甲冑です」(森松 森直樹社長)
作っていたのはプラスチック製の甲冑でした。
しかしなぜ、プラスチックを製造する会社が甲冑を作ったのでしょうか?
「私どもはデスクマットを主な商品として扱っていますが、冬から春の間が繁忙期なんです。繁忙期ではない夏に、何か作れる商品がないかということで」(森松 森直樹社長)
主力商品であるデスクマットが売れるのは、新年度が始まる春まで。売れない夏を何とかできないか…それが、プラスチック甲冑が生まれたワケ。歴史ブームも後押しして、今年から本格的に作り始めました。
外国人や歴史ファン、コスプレファンも注目
しかしここである疑問が。甲冑はそこまで需要があるのでしょうか?
東京で人気の甲冑の写真だけを撮るスタジオ「戦国フォトスタジオ SAMURAI」。外国人観光客をはじめ、七五三の記念や歴史好きな女性にも人気だといいます。
こうしたブームに乗って、プラスチック甲冑を作った名古屋の会社では勢い余って、「甲冑ミュージアム」まで作ってしまいました。
「今70領くらいになります」(森松 森直樹社長)
全て手作りで組み立てるため1領15万円と高額ですが、歴史好きやコスプレファンが買っていくそうです。
社長の思いは、プラスチックでもこんなに細かな加工ができることを知ってもらうこと。早速、記者も体験させていただきました。
「着てみたんですが、すごく軽いですね」(記者)
「プラスチックなので、実際の甲冑の5分の1くらいの重量です」(森松 森直樹社長)
「それ、着て帰って下さい」(社員)
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