子どもが自転車で通学する際、安全のために装着するヘルメット。岐阜県羽島市の子供たちは、“シェルメット”というヘルメットを長年使ってきました。しかし、来年度からは違うヘルメットに変わるといいます。そのワケとは。
岐阜県羽島市にある竹鼻中学校。自転車通学する生徒たちは特長のあるヘルメットをかぶっています。
実はこのヘルメット、頭のてっぺんから放射状に溝が広がり、貝に似ていることから“シェルメット”と呼ばれています。
岐阜県の西濃地域を中心に長年慣れ親しまれている、シェルメット。羽島市内の中学校で5校のうち、4校でほぼ全員が自転車通学でシェルメットを使用しています。
「多くの学校がシェルメット、この近辺では採用していると思いますけど、今かぶっているヘルメットについては、ゆくゆくは変わることになると思います」(羽島市立竹鼻中学校 増田恭司 校長)
校長の話では、いずれ、シェルヘルメットが使えなくなるとのこと。一体どういうことでしょうか?羽島市の担当者は。
「私も小さいころ(シェルメットを)かぶっていたんですけども、いわゆるSGマーク、JISさん、CEマ-クというような、自転車ヘルメットの安全基準というものを“シェルメット”はちょっと取得をしていないということを確認している」(羽島市 生活交通安全課 浅野貴弘さん)
羽島市では今年11月、岐阜県内で初めて自転車に関する条例・羽島市自転車安全利用推進条例を制定。シェルメットはこの安全基準が満たされていないということで、来年度以降、自転車通学の際に使用できなくなる可能性があるといいます。
“シェルメット”を製造するメーカーによると、もともとシェルメットは、自転車の通学用に作られたものではなく、軽作業にも使える安全帽として40年以上前に開発されたものだそうです。
そして以前、製品の安全基準を満たすSGマークやJISマークの取得を目指し転倒時に衝撃を吸収する発泡スチロールなどをつけることを検討しましたが、基準が満たせず、断念したといいます。
この条例をうけて岐阜県教育委員会は、安全基準を満たしたヘルメットを必ずかぶるよう呼びかけています。
岐阜県の西濃地区を中心に、学校のPTAを通じて広まったという、シェルメット。
では、このシェルメット、なぜここまで自転車通学に使われるようになったのでしょうか?羽島市内で「シェルメット」を販売しているお店「スクールハウス 郡上屋」で話を伺いました。
「昔からこれというふうなことを暗黙の了解というか、これしかなかったので、当然って感じでかぶってみえました」(スクールハウス 郡上屋 和田真治さん)
シェルメットは学校指定品ではありませんが、みんながかぶっているということで、1個2000円ほどと手軽な値段で入手できたことも、普及した背景にあるといいます。
「こちらのシェルメットの方は、(自転車通学では)だめだと言われましたので、今週からこちらの安全基準に適したのをお客さんに勧めています」(スクールハウス 郡上屋 和田真治さん)
こちらのお店では今月に入ってからSGマーク入りの安全基準を満たしたヘルメットを販売開始。
通気性向上と軽量化のために穴が開いたスポーツタイプのヘルメットでシェルメットの約2倍の価格になっています。
去年、自転車による交通事故が51件発生した羽島市。子ども達の安全性をより高めるため、基準を満たした自転車用のヘルメット装着の推進に動き出しています。
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