パートナーや恋人と一緒のベッドで寝れることは嬉しいけれど、実際のところは布団やスペースの争奪戦となり睡眠が妨げられてしまう…ということも。一方で、別々に寝るのは相手と距離ができてしまいそうな気がして踏み出せないというカップルもいるかもしれません。
そこで、睡眠の専門家が解説する「恋人とベッドを共有することがもたらす影響」を<グッドハウスキーピング アメリカ版>からお届けします。
「ベッドの共有」と「睡眠」を巡る研究
2020年6月に行われた研究で、12組のカップルの睡眠パターンを分析したところ、同じベッドで寝たときの方が「レム睡眠(浅い睡眠)」が増える傾向があったのだそう。
2016年に行われた別の研究では、男性よりも女性の方がパートナーと寝ることで睡眠不足に陥りやすいという傾向が明らかになったのだとか。一人で寝る時よりベッドを共有する方が、眠りに落ちるのが遅かったり、通常より早く起きてしまったりする女性が多かったそう。
アメリカ睡眠医学会の役員であるファリハ・アバシ-ファインブルグ医師は、親密感を保とうとするあまり、無理をして同じベッドで寝ようとすると、ケンカをしやすくなるという研究結果もあると言及。
ただし、ベッドの共有と睡眠の質の相関性を結論付けるためには、さらなる研究が必要とのこと。
睡眠環境の好みは人それぞれ
睡眠はすべての人間の生理現象に不可欠なことですが、良質な睡眠を得るための環境の好みは人によって異なります。「自分がよく眠れるベッドの固さや、掛け布団の厚さと室温、どのポジションで寝るかというのは相手に合わせるものではない」と、米スタンフォード大学で睡眠の専門家を務めるラファエル・ペラヨさんは指摘します。
「睡眠の質を上げる環境というのは、自分にとっての最適な温度や静かさ、暗さが担保されていること」と説明するのは、米ワシントン大学の睡眠医学センターに勤めるテリ・リッセル医師。
「寝室の室温を設定する際に、パートナーとの好みが異なる場合があります。その違いを補うためにも、掛け布団の種類や厚さをお互い調整する必要があるのです」
睡眠の習慣も人それぞれ
「カップルが一緒に住むようになると、最初は同じベッドで寝れることが嬉しくて、同じ時間に寝て起きるよう心がけますが、やがて相手の体内時計が自分と違うことに気づくという人も少なくありません」と、ペラヨさん。自分が朝型人間で相手が夜型人間の場合は、お互いを睡眠の途中で起こさないためにもベッドは別々にするのが最適かも。
リッセル医師は「カップルで一緒に寝ることで、より親密にもなりますし、安心さを感じることもできる」説明する一方で、一緒に寝ることで睡眠の質が下がると、カップルにとってネガティブな影響を与えうると警告。睡眠不足は、気分が落ちこんだり、共感力や記憶力が衰えてしまうこともあるのだとか。
一つのベッドに二つの掛け布団?
ペラヨさんは、ベッドシーツや掛け布団を別々にするだけでも、睡眠が改善されるとオススメします。
「睡眠中の相手の動きが気になったり、掛け布団を巡る小競り合いを避けたいのであれば、一人ひとつずつの掛け布団を使うことが解決策になるでしょう」
「 Good Housekeeping Institute」で織物の専門家を務めるレズリー・サックスさんによると、「カップルが別々の寝具を使うことに馴染みがない理由には、ベッド用品を扱うメーカーが、そのようなブランディングをしてこなかったことが背景にある」とのこと。
サックスさんがおすすめする方法は、キングサイズのベッドを共有して、シングルサイズの掛け布団を別々に使うこと。キングサイズ(幅180センチ)は、シングルサイズ(幅97センチ)の約2倍のサイズに当たるので、二人が心地よく寝るのにちょうどいいサイズなのだとか。
ベッドメイキングをする際に、二枚の掛け布団を並べた見た目に違和感を感じるのであれば、掛け布団の上に一枚のカバーを敷くと、ベッド全体に統一感が出るので試してみて。
※この翻訳は抄訳です。