キャサリンさん(28)は昨年の5月にアメリカの看護学校を卒業し、集中治療室(ICU)の看護師として働いている。
看護師の仕事は予測不可能な出来事と常に隣り合わせだが、新型コロナウイルスのパンデミックによってより一層予測が難しくなったと、彼女はBuzzFeedに語った。
キャサリンさんのあるツイートが昨年、大きく拡散された。
How it started How it's going pic.twitter.com/cg32Tu7v0B
— Kathryn Ivey (@kathryniveyy) November 22, 2020
左の写真は看護師を始めたばかりのキャサリンさん、右は現在の姿だ。
当時、海外のSNSで「How It Started vs. How It's Going(始まり vs. 現状)」とコメントをつけ過去と現在の比較画像を投稿するのが流行していた。キャサリンさんのツイートも、これに便乗した投稿だった。
「看護師として働くのは好きです」。自身のツイートに返信する形で、キャサリンさんはそう書いている。
「ここまで政治色の強いパンデミックの真っ最中に看護師になるとは、想定していませんでした。しかし、パンデミック中でも人生はあっという間に過ぎていきます」
「他にやりたいことは何もありませんでした。重症患者の治療を手助けできるのは光栄ですし、私は患者を大切に思っています」
「本来なら死を免れたはずなのに(新型コロナウイルス感染症によって)亡くなってしまう人々を見届けるのは、本当に心が痛いです。同じように亡くなる人々が何人もいて、再び見届けるのを繰り返す。これはもっと辛いです」
「新型コロナウイルス感染症は残酷な病気ですし、その辛さは誰にも経験してほしくありません」
「これだけは理解しておいてください。新型コロナの感染対策をすることは、自分自身を守るだけでなく、あなたの周りの人々の命を守ることにも繋がります」
今回の写真を撮った経緯について、キャサリンさんはBuzzFeedに明かした。
「新型コロナ患者の治療室に長時間いた私は、部屋から出た後に自分の疲れ切った顔を見て驚きました」
「顔や体は汗でびっしょりしていて、フェイスシールドとマスクからは髪の毛が飛び出ていました。顔には個人防護具(PPE)の跡が深く付いていて、赤くなっていました」
「人々はきれいなスクラブや白衣を着ている看護師を想像すると思いますが、現実は全く違います。それを思い出しました」
「政治的な問題にも発展しているパンデミックにおいて、その中心にいる患者たちの世話をするとはどういうことなのか。私はただ人々に現実を見てもらいたかったのです」
「患者たちは、政治問題よりも価値のある人々です。政策のための駒や数字、嘘、デマなどではありません。あなた方と同じように仕事があり、親族がいて、家庭やペットを持つ人たちです。消耗品ではありません」
「死を免れても、完全に回復したとは言い切れません。患者の命と健康(の損失)は、新型コロナに感染していない残りの私たちの自由と等価ではありません」
「患者たちへの対処は改善されるべきです。今の対応よりも良い、しかるべき対処を受ける価値が、私たち皆にあるはずです」
ツイッターでは、多くの人々がキャサリンさんに支援の気持ちを示した。一部の医療従事者たちは、新型コロナウイルスがデマではないことを改めて示すため、キャサリンさんと同様「始まり vs. 現状」の写真を投稿した。
Same @kathryniveyy Same.
— Sarah, RN (@shesinscrubs) November 24, 2020
「人々からの返信には圧倒されました」と、キャサリンさんはBuzzFeedに語る。
How it started —> how it is now pic.twitter.com/2GgQlkkxUA
— Circus Nurse, BSN, RN (@circus_nurse) November 24, 2020
「医療従事者に対するみなさんの感謝の気持ちに、心の底から感動しました」
「また多くの人が、感染拡大防止のために外出を自粛し、マスクを着け、予定をキャンセルしていると教えてくれました」
「言葉では表せないほど、私にとっては意味のあることです」
「たくさんの医療従事者が私と同じような写真やストーリーを投稿しています。新型コロナウイルスが、私たちにどれほどの影響を与えているのかわかりました」
How it started vs how it’s going 🙃 pic.twitter.com/dMpeh4qsjV
— LYSS⚡️ (@lyssawulf) November 24, 2020
「パンデミックを経て、無傷でいられる医療従事者なんて1人もいないでしょう」
「私たちはすでに、集中治療室に長時間いて顔が変わってしまっても、お互いを認識できるようになってきました」
「一生忘れられないであろうものを、私たちは見てきたのです」
「新型コロナウイルスがデマなのではと疑っている人や、メディアや政治家たちが言うほど大事ではないと思っている人々に言います。医療従事者たちが、あなたたちに嘘をつく理由はありません」
「ロックダウンや外出自粛にはうんざりです。でもそれ以上に、防ぎようのあった死や悲しみの波が絶え間なく襲ってくるのには、もっとうんざりです」
「私たちが人々に望むのは『自分を大事にして、安全を守ってほしい』ということ」
「過去18年間、アメリカ人は『もっとも信頼できる職業』ランキングで看護師に投票し、敬意を払ってきました。今こそ、私たちを信じるときです」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:吉谷麟