テイラー・マックゴーワン、18ヶ月。彼女は「くしでとかせない頭髪症候群」という稀な症状を持つ赤ちゃん。
くしでとかせない頭髪症候群(UHS: Uncombable Hair Syndrome)とは、世界的にも100例ほどしか報告がない珍しい髪の毛の症状。写真のテイラーのように、髪の毛がライオンのたてがみのように、漫画にでてくる雷に打たれ人のように逆立ってしまうのだ。名前のとおり、くしでうまくとかせないという状態。
この症候群の全貌はまだ完全に明らかになってはいないが、2016年にAmerican Journal of Human Geneticsで発表された論文によれば、毛幹のタンパク質を作る遺伝子が関係しており、3つの遺伝子突然変異が原因で起こると考えられている。毛幹が歪み、約50%の割合で毛幹は円ではなく、ハート型または三角形になる。髪の色は、金色や銀色が多く、通常よりも伸びる速度が遅いことも多い。
「髪の毛、素敵でしょう。ちいさなアインシュタインみたい!」そうBuzzFeedに語るのは、テイラーの母、カラ・マックゴーワン。彼女の髪の毛をスタイリングするのは大変。ポニーテールに結ぼうものなら、根本から毛先まで立ち上がる。様々なヘアプロダクトも試したが、今は薬品の入ったものは避けている。その理由は、テイラーの髪は、とてもダメージを受けやすいとわかったからだ。
テイラーの髪の毛の異変に気付いたのは、生後4ヶ月から6ヶ月の頃。
「最初は、逆立ってるな、面白いなってだけでした。そのうち横にねるだろうと。でも、いつまでたっても逆立ったまま」
カラは当時を思い出して、そう語る。そのうち、家族の1人が、くしでとかせない頭髪症候群の子どもの写真を見つけ、テイラーもこれではないかと考えた。
「最初は笑ってしまいました。世界で100人という超レアな症状がうちの娘にあるなんて、まさかって思ったんです。だけど、そのまさかでした」
シカゴ郊外に住むマックゴーワン一家は、研究論文のメイン著者である、ドイツのボン大学のレジーナ・ベッツ教授に連絡をとった。彼女がこの研究のパイオニアであり、子どもが親から2組の突然変異遺伝子を受けついだ場合、症状の原因となるPADI3という遺伝子を見つけた科学者である。
両親が遺伝子「PADI3」保持者。
血液サンプルをドイツまで送りテストした結果、テイラーは櫛でとかせない頭髪症候群であると判明。
カラ、そして夫のトム両者共に、突然変異遺伝子PADI3を1組持っていることがわかった。ただ、カラもトムも櫛でとかせない頭髪症候群ではない。両親それぞれからPADI3を1組ずつもらい、2組もつことでこの症状は発生するのだ。
カラは、テイラーと同じ症状を持つ人々と繋がり情報交換をしている。成長とともに、髪質が変わるという報告もある。
「そのうち、解決するかもしれないし、しないかもしれません」「どちらのパターンの人にも会ったことがありますから。大人になって、髪の色が暗くなり、ちょっとくせ毛だけど逆だつことはなくなったという人もいました。一方で、大人になっても逆立ったままで苦労しているという人もいました」
カラはテイラーのFacebookページ「BabyEinstein2.0」を開設。
ページを開設することで、世間の認知度をあげ、個性として受け止めてほしいとカラは考えている。多くの人は優しくサポートしてくれるが、時に、指をさして笑う人もいるのが現実だ。「広げたいのは、多様性を受け入れよう、自分を愛そう、いじめをやめようというメッセージです」「人と違っていても大丈夫。それを受け入れたら、個性はすばらしいこと」
もしかしたら、アインシュタインもくしでとかせない頭髪症候群だったのでは?という噂もある。ただ、これは実際に彼の遺伝子をテストしてみないことにはわからない。
この記事は英語から翻訳されました。翻訳:soko / 編集:BuzzFeed Japan