こちらは22歳のケイティ・ステファンと、ボーイフレンドのエディー・ジトナー。このカナダ人カップルは最近、バカンスでドミニカ共和国のビーチに行き、良い思い出だけでなく、とんでもないものも持ち帰ってしまいました。
二人とも皮膚幼虫移行症、つまり寄生虫によって引き起こされる炎症を発症したのだ。ステファンが発疹のあるパンパンに腫れた足の写真をFacebookに投稿すると、それは瞬く間に拡散された。
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「南の島に旅行するみなさん! ビーチでは靴を履くようにしてください。ボーイフレントと私は最近、ドミニカ共和国のプンタ・カーナから戻ってきましたが、皮膚幼虫移行症に感染、つまり足の中に虫がいることがわかりました。もし足がひどく痒くなったら、すぐに病院に行ってください。私たちは単に虫刺されだと思っていましたが、日を追うごとに悪くなっていったんです」
「私たちが滞在したのはIFA ヴィラズ バヴァロ リゾート&スパ。この怪我は旅行保険の補償範囲ではなく、カナダに戻ってから最初の治療を受けたので、旅行保険を使うことはできませんでした」
「その上カナダ保健省は、インベルメクチンという経口駆虫薬を使用する要求を却下したので、私たちはアメリカから薬を取り寄せて自費で治療をしなくてはいけなくなりました。ありがとうカナダ。カナダの医療ってすばらしいね(怒)!」
追記:
カナダ保健省と医療制度についての批判を書きましたが、医師や看護師、薬剤師には素晴らしい医療を施してもらったことは強調しておきたいです。受けた医療はすばらしいものでしたが、カナダ保健省の対応についてだけは不満を感じています」
Facebookの投稿によると、ステファンとボーイフレンドはドミニカ共和国のプンタ・カーナの海辺のリゾート滞在中、ビーチを歩いている間に寄生虫に感染したという。
「私たちはオプショナルツアーに参加しましたが、この寄生虫に同じように感染した他の人たちは参加していませんでした。だから、リゾートかビーチで感染したはずです」とBuzzFeed Newsの取材に、ステファンはFacebookメッセージで返答した。
「私たちは単に虫刺されだと思っていたのですが、日を追うごとに悪くなりました」とステファンは書いている。二人はカナダに帰国して病院に行くまで、それが何なのかわかっていなかった。
「二人とも、寄生虫に感染しているとは思ってもいませんでした。18日に帰宅し、20日に病院に行きましたが、22日に医師が寄生虫感染による皮膚幼虫移行症だと診察するまでわからなかった」とステファンはいう。
自体は悪くなる一方だった。「病院から、私たちの病状が投薬してもらえるほど深刻ではないと言われました」とステファン。二人は結局、自分たちでアメリカから薬を取り寄せなければならなかった。
「カナダ保健省は、インベルメクチンという経口駆虫薬を使用する要求を却下したので、私たちはアメリカから薬を取り寄せて自費で治療をしなくてはいけなくなりました」と、ステファンはFacebookに投稿している。
ステファンとボーイフレンドが感染した皮膚幼虫移行症は、熱帯地域ではありふれた感染症だ。ほとんどの場合、犬や猫の糞尿からの鉤虫で汚染された砂浜を裸足で歩くことによって感染する。
「皮膚幼虫移行症とは、鉤虫の幼虫もしくは幼生が、皮膚の下に寄生していることを意味します」とMAYOクリニックの寄生生物学者、ボビー・S・プリット氏はBuzzFeed Newsに話す。
ごく小さな鉤虫は犬猫の糞尿に汚染された砂や土壌に生息し、皮膚を貫通して直接足に入り込む。「鉤虫の卵は排泄物から出てきて砂や土壌で孵化し、無防備な人間が裸足で歩いてくるまではそこに生息します」とプリット氏。
この手の皮膚感染症は人の鉤虫ではなく、動物の鉤虫によって引き起こされる。「人間の鉤虫も皮膚を貫通しますが、その後、血液中に移動して腸に寄生し、病気を引き起こします。犬猫の甲虫とは違い、皮膚にとどまることはありません」と彼女は言う。
鉤虫が生存するためには暖かく湿った環境が必要であるため、鉤虫は熱帯エリアを好む。鉤虫はアメリカ南部でも見つかるが、カリブ海の国々や、中央・南アメリカで流行している。
鉤虫に感染した糞便から卵がかえるので、野良犬が糞をするような海岸や田舎でよく見られる。しかし、ビーチリゾートにも鉤虫はいる。「ビーチに犬が禁止されていることを知るまで、確信は持てないのです」とプリット氏は話している。
感染は、初期の段階では虫刺されや発疹のように見えるが、次第に痛みが出て、蛇のような形の水ぶくれを引き起こす。幸運なことに、鉤虫感染は簡単に治療できる。
鉤虫は非常に小さいため、ほとんどの人は鉤虫が足の裏の皮膚から入り込んでも気づかない。
「おそらく、ほんの少し痒い水ぶくれがあるように感じるものの、ほとんどの人は最初、虫刺されか靴擦れだと思ってしまうでしょう。そのため初期の段階では見逃しやすいのです。しかし、数日後、それは非常に痛くなります」とNYCの皮膚科医ミシェル・S・グリーン氏はBuzzFeed Newsに話す。
「足は非常に痒くなるでしょうが、どこに鉤虫が寄生しているかは簡単に言い当てることができます。鉤虫は皮膚に赤く曲がりくねった、盛り上がった蛇の形の線を作るからです」とプリット氏は言う。写真を見ればわかるように、かなり見た目が気持ち悪い。
幸い、人間はこの小さな虫の最後の宿主だ。
「皮膚の炎症をもたらす鉤虫は、人間の体内では子孫を残すことができません。そのため、数週間で徐々にいなくなります」とプリット氏。さらに、炎症はとても簡単に治療でき、正しい治療であれば1、2日で寄生した鉤虫を駆除して症状を改善することができる。「イベルメクチンは虫を体内から取り除く駆除薬です。この手の薬はほとんどの国で広く使われています」とグリーン氏は話す。
感染を予防する最も良い方法は、熱帯エリアのビーチでは靴を履くか、犬がいないプライベートビーチに行くことだ。
「自分でできる最初の予防措置は、ビーチでつま先の開いていない靴を履くことです。でも、明らかに魅力的な方法ではないですよね。犬が入れないようにフェンスで囲まれているプライベートビーチがあるかどうかを宿泊施設に聞いてみることもいいでしょう」とプリット氏。
鉤虫は熱帯地帯ではありふれたものなのだ。熱帯地帯を訪れる時は常にリスクがある。肝腎なことは、ビーチであれ公園であれハイキングトレイルであれ、動物の糞便で汚染された場所を裸足で歩くべきではないということだ。
「もう一つできることは、旅行前に『トラベルクリニック』を訪れることです。旅先に合わせてアドバイスをしてくれ、必要があればあらかじめ投薬やワクチン接種などをしてくれます」とプリット氏は言い添えた。
熱帯地帯では、鉤虫だけではなくさまざまな寄生虫やバクテリアの感染、蚊媒介性の病気など、もっと深刻な事態に陥る可能性のあるものがたくさんあるのだ。
この記事は英語から翻訳されました。翻訳:フェリックス清香 / 編集:BuzzFeed Japan
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