・我々が暮らす天の川銀河は約40億年後に、最も近い銀河であるアンドロメダ銀河と衝突し、融合すると見られている。
・お互いをすり抜け、一度は通り過ぎる2つの銀河だが、互いの重力に引き戻され、最終的には銀河核の融合を起こす。
・銀河とその無数の星々が迫り来る様子の想像図をNASAが製作した。
・アンドロメダ銀河の接近は壮大な光景を夜空に映し出す。だが、地球の生き物がその景色を目にすることはなさそうだ。その頃には、太陽が金星の軌道上に達するまでに膨張し、地球を焼き尽くしているという。
アンドロメダ銀河は、我々の天の川銀河に向かって時速25万マイル(時速約40万キロメートル)の速度で接近している。約250万光年という長い旅路ではあるが、約40億年後には天の川銀河にぶつかると見られている。
もし2つの銀河が衝突すれば、美しい光景が作り出されるだろう。アンドロメダ銀河はまず、接近するにつれて地球の空にかかる天の川を歪める。そして最終的に2つの銀河の銀河核は融合する。
不運にも地球上の生命はすべて、このスペクタクルを目にする前に死に絶えることとなる。その頃には、エネルギー不足に陥りはじめた太陽が金星の軌道上に達するほど膨張し、地球は現在の水星並の灼熱の星となるからだ。
そこでNASAは想像図を作成し、アンドロメダ銀河と天の川銀河の衝突が織りなす光景を段階ごとに描きだした。
未来の夜空を見てみよう。
アンドロメダ銀河は地球から最も近い銀河だ。250万光年しか離れていない。アンドロメダ銀河と天の川銀河は、こうしている間にもお互いに接近しつつある
NASAのGALEX人工衛星のデータをもとに再現されたアンドロメダ銀河の星々
NASA/JPL-Caltech
出展: NASA
NASAのハッブル宇宙望遠鏡は2012年に、アンドロメダ銀河が39億年後に天の川銀河と衝突する軌道を辿っていることを発見した
地球周回軌道上のハッブル宇宙望遠鏡。
NASA/Getty Images
出展: NASA
欧州宇宙機関のガイア宇宙望遠鏡による観測データは、45億年後というわずかに異なる衝突時期を示している
天の川銀河の星々とガイア宇宙望遠鏡のイメージ画像。
ESA
出展: European Space Agency
いずれにしても2つの銀河の衝突は時間の問題だ。まずは星々がお互いの軌道を狂わせ、混沌とした状態に陥いる。そして最終的には巨大な1つの銀河系となり安定する。NASAが予想する地球からの光景を見てみよう
ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 6052と呼ばれる衝突している銀河の画像。
ESA/Hubble & NASA, A. Adamo et al.
出展: National Geographic, NASA
天の川は夜空にかかる帯のように見える。アンドロメダは望遠鏡を使わずに視認できる唯一の銀河だが、彼方に輝く小さな光でしかない
NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), T. Hallas, and A. Mellinger
20億年後、アンドロメダ銀河は今よりずっと大きく夜空に迫ってくる
NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), T. Hallas, and A. Mellinger
ハッブル望遠鏡の測定によると、37.5億年後の夜空には大きくアンドロメダ銀河が広がり、重力による潮汐で天の川は歪み始める
NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), T. Hallas, and A. Mellinger
NASAによると、39億年後には2つの銀河が初めて交錯する。銀河はそのほとんどが宇宙空間なので、2つの銀河の星々が物理的に衝突する可能性はほとんどない
NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), T. Hallas, and A. Mellinger
しかし、接近によって星間を漂うガスは圧縮される。圧縮されたガスと塵が崩壊し、新たな星が生まれる過程で、空は明るく輝く
NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), T. Hallas, and A. Mellinger
40億年後には、一旦はお互いをすり抜けた2つの銀河が、遠ざかる時に引き伸ばされ、歪みが生じる
NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), T. Hallas, and A. Mellinger
51億年後、2つの銀河はお互いの重力に再び引き寄せられる。夜空には、2つの銀河の銀河核(巨大に膨れ上がった古い星々の集まり)が現れる。急速な星形成の段階は幕を閉じる
NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), T. Hallas, and A. Mellinger
70億年後には、2つの渦巻銀河の銀河核が融合し、1つの巨大な楕円銀河になる。夜空には2つの銀河系の最も古い星々が放つ光が充満する
NASA, ESA, Z. Levay and R. van der Marel (STScI), T. Hallas, and A. Mellinger
しかしアンドロメダが接近する頃には「我々の太陽は白色矮星に変貌し、地球の生命体とはお別れだ」とノーベル賞物理学者のディディエ・ケロー(Didier Queloz)氏はツイッターに書いた
惑星状星雲NGC 7293 は、太陽のような恒星が死にゆく姿の一例だ。エネルギーが不足するにつれ、恒星はガスを放出し、さらに高温の小さく密度の高い白色矮星へと進化する。
NASA/JPL-Caltech/SSC
なぜなら、ゆっくりと死にゆく太陽がその過程で、金星の軌道に到達するまでに膨張し、地球を燃やし尽くすからだ。「だが心配することはない、それまでには他の星で他の生命体が繁栄しているはずだ」とケロー氏は付け加えた。
[原文]When the Andromeda galaxy crashes into the Milky Way, this is what it could look like from Earth
(翻訳:忍足亜輝、編集:Toshihiko Inoue)