フィリップ殿下の追悼式で、エリザベス女王が「エジンバラ・グリーン」を着た理由
フィリップ王配の追悼式に出席したエリザベス女王(中)、アン王女(右)、コーンウォール公爵夫人カミラ(左)。
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・フィリップ殿下の追悼式は、亡くなってから約1年後の2022年3月29日に行われた。
・エリザベス女王は亡き夫への賛辞と思われる緑色の服を身にまとっていた。
・エリザベス女王の結婚式のブーケの特徴だった蘭の花も彼女の服にさりげなく添えられていた。
フィリップ殿下(Prince Philip)の死から1年近く経った2022年3月29日に行われたウェストミンスター寺院での追悼式で、エリザベス女王をはじめとするイギリス王室のメンバーは、グリーンの服を着て参列し、彼に敬意を表していたように見えた。
スカイ・ニュース(Sky News)が報じたように、この式典は、2021年10月以来、エリザベス女王が初めて出席した大きな公式行事であり、彼女が新型コロナウイルスの陽性反応が出てからわずか1カ月余りで行われた。BBCの生中継では、エリザベス女王がウィンザー城の住居からアンドリュー王子のエスコートでウエストミンスター寺院に向かう姿が映し出され、視聴者は女王のエメラルド色のコートドレスを初めて見ることとなった。
このグリーンの色合いは、フィリップ殿下の公式カラーである「エディンバラ・グリーン」を連想させるとインデペンデントは報じている。フィリップ殿下の戴冠式の際には侍従が同じ色合いのダークグリーンの服を着用し、2021年4月17日の彼の葬儀では特別に改造されたランドローバー(Land Rover)の霊柩車もダークグリーンに塗装されていた。
2022年3月29日、ロンドンのウェストミンスター寺院で行われたフィリップ殿下の追悼式。エリザベス女王をエスコートしていたのはアンドリュー王子だった。
BBC
エリザベス女王は、コートドレスとお揃いの帽子、光沢のある黒の靴、黒のハンドバッグで装いを整えていた。また1966年にフィリップ殿下から贈られたイエローゴールド、ルビー、ダイヤモンドの「スカラベ・ブローチ(Scarab brooch)」を身に着け、亡き夫に敬意を表していたとHello! Magazineは報じている。
ファッションを通じてフィリップ殿下に敬意を表したのはエリザベス女王だけではなかった。コーンウォール公爵夫人カミラ、エリザベス女王とフィリップ殿下の長女・アン王女もこの日、特別な色であるグリーンを自分の装いに取り入れていた。
フィリップ殿下と彼の遺したものに捧げる追悼式では、王室という立場にある人ならば黒い礼服を着用しなければならないのではと考える人もいるだろう。しかし実際には感謝の儀式であるため、そのような決まりはないとバッキンガム宮殿の広報担当者はInsiderに語っている。その代わりに、ケンブリッジ公爵夫妻のような王室の出席者のドレスコードは「ラウンジスーツ」だったと広報担当者は付け加えた。
ウェストミンスター寺院で行われたフィリップ殿下の追悼式に到着したケンブリッジ公爵夫妻とジョージ王子、シャーロット王女。
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しかし、3人のロイヤルファミリーが身に着けていたグリーンがフィリップ殿下へのオマージュなのかどうかについてはコメントしなかった。
それでも、王室のプレスリリースによると、エリザベス女王は追悼式の計画に「積極的に関わった」という。この式は1947年に彼女とフィリップ殿下と結婚したのとまったく同じ場所で行われた。
73年間にわたる2人の関係をさりげなく表現するため、フラワーアレンジメントには白いデンドロビウム蘭とエリンギウムを取り入れていた。プレスリリースによると、蘭は女王の結婚式のブーケに使用され、エリンギウムはエディンバラ公フィリップ殿下の海軍時代のキャリアと「生涯にわたる海への愛情」を象徴しているという。
[原文:Why the Queen and other royals honored Prince Philip with green clothing instead of black at his memorial service]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)