音楽をCDで購入する時代からダウンロードする時代へと変わり、同時に聴き方も変わりつつある。自宅のオーディオでゆっくり聴くことよりも、スマホとともにヘッドホンで持ち歩くことが増えているという人は少なくないだろう。しかしその一方で、ヘッドホンで聴く音に物足りなさを感じている人もまた、少なくないだろう。
そんな次世代のミュージックライフの課題を逆手にとって開発されたのが、ウェアラブルスピーカー「Hapbeat」だ。
ライブ会場の臨場感を再現
東京工業大学の長谷川晶一研究室から生まれたスタートアップが手掛けた「Hapbeat」。開発にあたってのキーワードは「ライブ感」だった。ヘッドホンで聴く音楽と、ライブ会場で聴く音楽の一番の違いは、体で感じる「振動」であることに着目。
「Hapbeat」は、スマホの音楽をライブ会場やクラブハウスに迫る迫力と臨場感で体感させるウェアラブルデバイスだ。
体に巻いた糸で全身にビートを伝える
使い方はとても簡単だ。本体を磁石やクリップ、ストラップなどで体に装着し、本体から糸を引き出して腰に巻きつける。そして、HapbeatとスマホをBluetoothで接続し、Hapbeatとヘッドホンを繋ぐだけ。
内蔵のモーターにより、音楽と連動して糸を伸縮させる仕組みで、お腹から背中までを音で包みこみ、全身にビートを感じさせる仕組みだ。
振動は巨大スピーカー以上
Hapbeatがスピーカーに比べてどの程度装着者に振動を伝えているのか、水の入った容器を用いて行った実験では、音圧110dBの巨大スピーカーの振動よりも大きく水面を揺らした。
音圧110dBとは、自動車のクラクションを車の前方2mで聞いた時程度、一般的なカラオケ室内で90dB程度といえば、その音の大きさがわかるだろう。Hapbeatは、小型でありながら糸を通して体にダイレクトに振動を与えることで、お腹の底から揺さぶられるパワフルなビートを実現した。
・ ・ ・
Hapbeatは、ただ音楽を視聴する時だけでなく、ダンスをする時は、ビートと一つになる感覚を味わえることだろう。または映画鑑賞やゲームなどでは、まるでその場にいるかのような臨場感を体感できそうだ。
製品化に向けて着々と開発が進むHapbeat。全身で「音」を感じる体験ができる日も、そう遠くないかもしれない。
Hapbeat
Courtesy of Hapbeat合同会社