シンプルな白を纏うだけで、これほどまでに気高く、美しいとは。衣装の白をより白く輝かせるのが、足先に至るまでの圧倒的な美肌。長年、美白スキンケアのCMに出演し続ける透明感ある肌を生むのは、周囲を、そして自分を裏切りたくないという、慎み深く、優しく、力強い矜持──。
清く、美しく、しなやかに 天海祐希
静かに積み重ねた日々が紡ぐ、天海祐希という気高き存在。
眉頭から眉尻まで、キリッと伸びる直線。その凜々しい眉は撮影時も描いていない地眉。細眉人気の時期も変わらず、自分の眉を貫いてきたという。その力強い眼差しがハンサムな印象を際立たせる一方で、額のうぶ毛が無垢な抜け感を醸し出す。仕事柄、手を入れがちな部分もナチュラルなままでいる面だちは本当に美しい。
「太眉もうぶ毛も、これが私らしさなら付き合っていこうと思っていました。白髪もぽつぽつ出てきましたが染めていないんです。白髪やシワも、役を演じるための材料になるのなら生かしたい、その年齢だからこその表現をしていけたらと思っています。それに、白髪やシワがあるのが今の私なら、もうそのままでもいいじゃないって」
“日々、小さな自信を積み重ねて、常に闘える心と体をキープしておきたい”
隠さず、抗わず、積み重ねてきたありのままを「これが今の私」と言い切る潔さ。だから、私たちは憧れる。そして、ナチュラルなパーツの素地である圧倒的な美肌にも。メイクはしっかり落とす。よく食べ、休息する。体を冷やさない。1日5分でも湯船につかる。朝はスプーン1杯の亜麻仁油。発酵食品は意識してとり、みそ汁は1日1回は必ず食べる──。教えてくれたセルフケアはシンプルだった。
「撮影や舞台が続くと、野菜不足にならないよう、現場に温野菜をもって行き、インスタントのおみそ汁に加えています。腸活を意識して、発酵食品は自前のぬか漬けも毎日。セロリやうずらの卵もおいしかったな。簡単なことをなんとか続けている感じです。健康でいることがキレイの下地にもなりますし、小さな習慣の積み重ねが、自信にもつながる気がするんですよね」
日々の習慣は、お金や時間をかけずできること。その普通の感覚が、役への説得力や共感を生む。
「年齢と共に衰えるスピードも速くなるので、いつでも作品に入れるよう、闘える体でいられるよう、地道にケアをしなくてはと思っています。週1~2回のトレーニングも、予約を入れて強制的に行くようにしていますし、不調を感じたら迷わず病院へ。プロに委ねた方が不安材料が解消されますし、かかりつけのお医者さんのように、自分の体を知ってくれている方の存在は心強いですよね」
そうして不調や違和感のない状態であることが、気力をも底上げする。
「老化が来た!」という発見も今は日々楽しい
数年前、鎖骨にほくろができた。
「色気ぼくろだと喜んでいたら、皮膚科の先生が『それは老人性イボです』。『ついに老化が来た!』と思うと、面白くて笑ってしまいました。今はそういうことも楽しい。あちこちに来る老化現象も、気づく瞬間は一生に一度。だったら、その初めてを楽しみたい。笑いジワなら、いくら増えてもいいですから」
何事もポジティブ変換して笑い飛ばす。そして、「今の自分がいちばん楽しい」と思える生き方をしたいという。
「人生にはつらい時期もあるし、コロナ禍の不安もありますが、やられてばかりじゃ悔しいから、どんな状況でもためになることを見つけてやるぞ、と思うんです。そんな風に発憤するきっかけになったり、心に寄り添える作品を届けていけたらと思っています」
Profile
あまみ・ゆうき/1967年東京都生まれ。近年の主な主演作にドラマ『緊急取調室』シリーズ、『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』、映画『老後の資金がありません!』など。公演中の舞台『広島ジャンゴ2022』に、シングルマザー・山本役/ガンマン・ジャンゴ役で出演。
●COCOON PRODUCTION 2022「広島ジャンゴ2022」
4月30日まで東京・Bunkamuraシアターコクーン、5月6~16日大阪・森ノ宮ピロティホールで公演。
天海祐希さんが表紙に登場!『美的GRAND』2022春号 発売中
『美的GRAND』2022 春号掲載
撮影/竹内裕二(BALLPARK) ヘア&メイク/林 智子 スタイリスト/大沼こずえ(eleven.) 構成/松田亜子