姿かたち、たたずまい、声、話し方。すべてが美しく、誰もがその魅力に引き寄せられる。女優という仕事に選ばれし人。
松嶋菜々子 美しさの理由
スタジオ入りしてから撮影、インタビューを終えるまでの数時間。穏やかで優しい、でも凜とした空気に包まれて、その場にいる誰もが「女優・松嶋菜々子」のファンに。なんでもさらりと器用にこなしているように見えながら、実は悩んだり考えたり、自問自答を繰り返しながら成長を続けている、真摯な努力家。姿かたちの圧倒的な美しさを支える、その内面の魅力を探りました。
“期待に応えたい。自問自答を繰り返し仕事を続けています”
第一線で活躍を続け、家族との暮らしを大切にしながら自分軸で働く。ちょうど同じ時代を歩んできた『美的GRAND』世代の多くにとって、松嶋さんは憧れであり、共感する部分も多い存在です。
「私は元々自立心が強くて、小学校6年生の頃には既に“ひとりで暮らせるかも”なんて思っていました。高校に入ったらすぐ、卒業後は海外に行きたいからアルバイトをしよう、と考えていましたね。そんな子供だったので、16歳で芸能界に入り、仕事でオファーをいただいて、自分の存在が認められたときの衝撃は忘れられません。期待に応えたい、頑張りたいという気持ちが強く生まれました」
“決めごとやルール、こだわりが少ない自分でいたい”
20代はTVドラマ『救命病棟24時』『やまとなでしこ』をはじめ、主演ドラマが軒並み社会現象になる程の大ヒット。そんな中でも、自身では悩み多い日々だったと振り返ります。
「期待に応えるべく精一杯やっていたらいつの間にか…という流れだったので、自分は本当に女優に向いているのかと苦しむ面はありました。順調でありがたい反面、時間に追われて、常に“もっとできたんじゃないか”という思いもあって。演技は瞬発力でもあるので準備万端が正義ではないし、自分が納得したら観てくれる方も納得するのかといえば決してそうではないし…。そんなふうに自問自答をし続けていました。でも思えば、内容は変われど自問自答はずっと続いていて。今は、新しいことを怖がったりこだわりをもつことを減らして、なんでも楽しむ余裕をもちたいなと考えています」
profile
まつしま・ななこ/1973年、神奈川県生まれ。数々のドラマや映画で主役やキーパーソンとなる役柄を演じる。現在は連続TVドラマ『SUPER RICH』に女性起業家の島谷聡美役で出演中。ドキュメンタリー番組『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』(NHK BSプレミアム)ではナビゲーターを務めている。
『美的GRAND』2022冬号 発売中
『美的GRAND』2022冬号掲載
撮影/中村和孝 ヘア&メイク/佐々木博美 スタイリスト/大沼こずえ(eleven.) 構成/大塚真里