ヤマハ音楽教室ではたらく音楽講師の男女7人が11月19日、労働組合「ヤマハ音楽講師ユニオン」を結成した。
同日の会見で、レッスン外に無報酬の業務があることなどの実態を訴えた。
●きっかけは「コロナ禍」だった
ユニオンによると、ヤマハの音楽講師は、ヤマハ音楽振興会と委任契約を交わした「個人事業主」ということになっており、ヤマハと契約した楽器店(特約店)が運営する音楽教室か、直営店でレッスンしている。
コロナで、約3カ月間のレッスン休講が決まったが、実質的な補償はなかったという。
●「無報酬の仕事」も
ユニオンによると、ヤマハの音楽講師は、発表会の準備・本番などのレッスン外の仕事もあるが、基本的にはレッスンに対する報酬しか支払われておらず、ヤマハや特約店と対等な立場で交渉できないため、実質的に従属関係にあるという。
ユニオンのメンバーで、関東地方の子ども向け教室で教えている20代女性はこう話す。
「ヤマハ音楽教室ではさまざまなコンサートがありますが、その中でも規模が大きな発表会が年度末にあります。私が所属する特約店では、その発表会が3日間にわたりおこなわれて、1日あたりの拘束時間は10〜14時間ほどです。
15分ほどの昼食時間以外は、生徒の誘導や舞台・音響のセッテイング、司会業務などで慌ただしく過ごしています。ヤマハからは一切謝礼がでません。
特約店からは3日分の謝礼として5000円をもらいましたが、時給換算すると100円ほどです。特約店の臨時バイトには時給900円が支払われていると聞いて、あらためて講師の立場を考えさせられました」
●講師数は全国に約1万人
ユニオンは、ヤマハに対して、(1)レッスン外の仕事への報酬の支払い、(2)仕事を原因とするケガや病気への適切な補償、(3)コロナ禍など災害が生じた際の補償、(4)個人事業主として、対等なコミュニケーション――をもとめていくとしている。
ヤマハの教室会場数は全国に約2700カ所、講師数は約1万人。ヤマハ音楽振興会は「マスコミ報道を通じてユニオンの結成を承知していること以外、コメントすべき事項はございません」としている。