「王子様」と名付けられた、山梨県在住の高校3年の赤池肇(はじめ)さん(18)。3月5日に甲府家庭裁判所に改名を申し立てたところ、変更が認められ、名前が変わったばかりだ。
奇抜で珍しい「キラキラネーム」に悩んできた赤池さん。ツイッターで「名前変更の許可が下りましたァー!!!!!!!!」と改名を公表すると、13万RTされ、大反響を呼んだ。
赤池さんは子どもに名前をつける時、「お爺さんやお婆さんになってもずっと同じ名前であることをよく考えて欲しい」と話す。
●友人からのあだ名は「王子」
自分の名前は「人名じゃなくて役職名」。他の人との違いに気づいたのは小学校低学年の頃だった。
友人からはいつも「王子」と呼ばれていた。「環境に恵まれていた」こともあり、友人からバカにされたり、名前が原因でいじめられたりすることはなかった。
しかし、名前を何度も聞き返されたり、本当に本名ですかと確認されたりすることは日常茶飯事だった。学生証で証明することに慣れてはいたものの、毎回説明するのはわずらわしく、何より嫌だった。
高校に入学後、クラスで1対1で自己紹介をする機会があった。「王子様」という名前を言った途端、同級生の女子生徒が吹き出したこともある。
「怒ってもしょうがないし、俺でも笑うと思います。まあいっかなという感じでした」
●由来は「私にとっての王子様」
名前をつけたのは、母だった。「王子様」という名前を記した出生届は、父の知らないうちに出されていたという。
事前に母に改名することを報告した際、初めて「王子様」の由来が「私にとって唯一無二の存在で、私にとっての王子様」であったことを説明された。
「知ったこっちゃないという感じでした。でも、もう名前を変えることを決めていたので、特に何も思いませんでしたね」
2018年の冬くらいから、次の名前を考え始めた。まさと、あらた、あやとーー。友人から色々な名前案をもらったが、知り合いの僧侶にもらった「はじめ」を第一候補に決めた。
漢字は「倫理の教科書で印象に残っていた」というマルクス経済学者、河上肇から取り、「今までの人生をリセットし、新しく始めていく」という思いを込めた。