ついに勝率を5割に戻したベイスターズで、正捕手として9年目の嶺井博希(31)が奮闘している。ここまでチーム最多の46試合に先発して若き投手陣を引っ張り、勝負強いバッティングでも勝利に貢献する。けがで苦しんだ昨季の思いを胸に、「一度、死んでいる身。とにかく一試合一試合を必死に戦っているだけ」と上位進出へ表情を引き締める。
12日の広島戦。1点差に迫られた直後の七回に逆方向の右翼席へソロアーチを放てば、八回にも走者一掃の3点打で自己最多の1試合4打点を記録した。守りでも6投手をリードし、「各投手が粘り強く投げてくれたおかげで勝つことができた」と仲間思いの嶺井らしい言葉で笑った。
申し訳ない思いしか
昨シーズンはプロ入り後初めて開幕戦で先発マスクをかぶったが、チームはスタートダッシュに失敗。6月中旬にファームへ落ちた後は一度も昇格できず、9月には右肘のクリーニング手術を受ける決断を下した。「チームには申し訳ない思いしかなかった」
ことし2月の春季キャンプでは2軍スタートも、同月下旬から1軍に合流。開幕12試合目の4月13日、地元沖縄での巨人戦で今季初先発を飾ると、その後は徐々に出場機会を増やしていった。
5月4日の中日戦で3年ぶりのアーチを描けば、6月7日の日本ハム戦では今永の無安打無得点試合達成をお膳立て。三浦監督は「思い切った配球と、打者の反応を良く見ながら、意識づけるためのボールを念押しするしつこさがある。毎日必死にやっている」と扇の要に置く理由を語った。
目の前の戦いに集中
7月18日には出場選手登録が7年に達し、国内フリーエージェント(FA)権の資格取得条件を満たした。沖縄尚学高、亜大時代にそれぞれ日本一に輝いた経験の持ち主は、目の前の戦いだけに集中する。
「自分が野球を始めてからここまで携わっていただいた方々に感謝しています。今は勝利を第一に考え、プレーしていきたいと思います」。バイプレーヤーとして再び輝きを取り戻した背番号39が、波に乗ってきたチームを攻守に支える。
外部リンク