横浜DeNAの石川達也投手(25)が自信を胸に秋季練習に打ち込んでいる。3年目の今季は救援で28試合に登板し、3ホールドポイント(HP)、防御率1・97。目標だった30試合以上の登板にはわずかに届かなかったが、「成績としてはよく頑張ったと思う。成長できた」と実感を込めた。飛躍の中で見つけた課題に取り組み、次のステージを見据えている。
窮地での起用は築き上げた信頼の証しだった。初戦を落とし、後がなくなって迎えた広島とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ2戦目。2―2で迎えた八回に1点を勝ち越され、なおも無死満塁という瀬戸際で、石川は自身初となるポストシーズンのマウンドに立った。
「あれくらいの場面だと、開き直った」と石川は苦笑する。「ビッグイニングになっても仕方ない。できることをする。四球だけは出さないように」。空振り三振で1死、犠飛を運ばれたが2死までこぎ着けた。ゲームには敗れたが、「一番厳しい場面を経験できて良かった」。左腕の胸を充実感が満たした。
今季はピンチでも強気を貫いた。背景には打者との勝負に向き合えるようになったメンタルがある。シーズン途中に支配下選手登録されてプロデビューした昨季はアピールを焦り、「監督やコーチの視線や、自分と戦っていた」という。オフに投球の映像を見直し、自身の姿を客観視することで思考を深められた。
出番が増えたからこそ、さらなる向上の余地にも気づいた。疲労の蓄積に伴って明らかに球速が落ちていたという。秋季練習では下半身を鍛え、体力強化と球速アップを図っている。「最速を3キロ上げて154キロに。常時も145キロ前後から147~8キロまで上げたい。チェンジアップもより効くと思う」
実績という揺るがないものは、若者を大人に変える。「左の中継ぎで誰が投げるのかという状況になった時に、僕が行くようにならないといけないと強く思っている」。責任感が芽生えた25歳は来季に向け、「40試合、50試合に投げないといけない」と自身に課している。
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