24年ぶりのリーグ制覇を目指す横浜DeNAは開幕から25試合を終えて、10勝15敗の5位と昨季に続いてスタートダッシュに失敗した。開幕前の順位予想で優勝に推した高木由一氏が、チームの問題点を指摘し、5月反攻のキーマンを挙げた。
3、4月の時点で借金は五つ。ここまで膨らむとは想像できなかった。新型コロナウイルス感染拡大の影響などで、万全の戦力で戦えなかったのは三浦監督にとって不運だったが、その一言だけでは片付けられない場面が負け試合で散見された。
4月22日の広島戦では4点を追う六回無死一、二塁から佐野が強攻策で二飛に打ち取られた。最低でも一、三塁という場面で工夫が全く見られなかった。24日は同点の九回無死一塁で大和にバントのサインを出さず、右飛に抑えられて流れをつかめなかった。広島に開幕から6連敗しているのは、淡泊な攻めが原因のように思える。秋季トレーニングから春季キャンプまで、首脳陣は何を訴えてきたか。
チーム全体で一つ先の塁を目指し、1点でも多く得点を取ることではないか。キャンプやオープン戦だったらバットを短く持ってでも走者を進めたはず。シーズンに入ってからはやらないのか、できないのか。いまいち三浦監督の野球が見えてこない。今のままでは最下位に沈んだ去年と変わらない。原点回帰でしつこくやっていくしかない。
もう一つの課題はレギュラー不在を若手や中堅はどう捉えたのか。何が何でもレギュラーを奪い取ろうとする選手が台頭しなかったことは本当に寂しい。若手は技術的な問題もあるだろうが、負傷離脱した宮崎の代わりに出場した柴田や倉本も何もアピールできていない。ここが正念場だ。
5月からの巻き返しには、1軍に合流した今永を中心に、石田や浜口がチームに戻り、先発陣がまずゲームをつくること。つまりバッテリーを含めた守りから固める。その上でキャンプでやってきたことを見直し、つなぐ野球を推し進める。
キーマンは切り込み隊長の桑原となる。去年よりも構える際に手が前に出ていて、うまくボールとの距離が取れていないのは気になるが、彼が復調しない限りはチームの推進力は生まれない。
2年目を迎えた三浦監督はどう勝ちたいのか。監督はやっぱり考えることも多いので、青山ヘッドコーチを中心に、コーチ陣で支えてあげてほしい。まだまだ挽回のチャンスは残されているんだから。
たかぎ・よしかず
1971年にドラフト外で大洋(現横浜DeNA)に入団。プロ16年で957安打、102本塁打、463打点。87年に引退後、1軍の打撃コーチなどを歴任。98年には「マシンガン打線」の生みの親として、日本一に貢献した。愛川町出身。73歳。
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