切れのある腕の振りは健在だった。24日に行われた横浜DeNAの新人合同自主トレーニングでさっそうとマウンドに上がったのは昨季まで救援投手として活躍し、今季から球団職員に転身した平田真吾さん(34)。「選手のためになるなら。ストライクが入るように、できる限り頑張った」と充実感をにじませた。
春季キャンプ1軍に振り分けられた度会、石上、井上がフリー打撃を行っていた途中、マウンド付近の防球ネットが取り払われ、右腕が投球練習を始めた。同自主トレでは極めて珍しい実戦形式の打撃練習。平田さんは3人と計6打席対戦し、見た目にも130キロ台中盤は出ていそうな直球とスライダー、ツーシームなどの変化球を駆使して真剣勝負した。
昨年9月中旬ごろ、球団から戦力外通告を受けると同時にデータ戦略部のゲームアナリスト就任を打診された。ただ、現役続行の道を模索していた平田さん。トライアウトを受験した後、中東と南アジアを拠点に発足した新プロ野球リーグ「ベースボール・ユナイテッド」に参戦し、オールスターゲームに登板した。
「選手が求めるデータを」
「楽しみながらやるのが一番。日本で暗いまま終わりたくなかった」と純粋な野球の面白さを現地で思い出した。球団と相談の上、裏方として支えながら、今秋に開催予定の同リーグ出場を目指すことを承諾してもらい決断を下した。
パソコンでのデータ分析や精査、資料作成は一からのスタート。「ソフトに慣れるところから。ちょっと画面を見続けただけで目が疲れる」と悪戦苦闘の日々だが、「僕自身もデータを落とし込んでもらえて、攻めやすくなった」と重要性も理解している。対戦打者の打球傾向やコースごとの打率などを割り出す担当となり、「選手にいろいろ聞いて、イメージを付けやすいように選手が求めるデータを出したい」と意気込む。
そして、時間を見つけてトレーニングや投球練習にも励む予定。“二刀流”の平田さんは貴重な存在で、球団のハイパフォーマンス部、桑原義行部長は「彼の使い方は普通ではなく、一段階上のステージの打撃投手という形もできると思うので相談したい」と期待した。
外部リンク