「来年が本当に勝負なので、やらなければならないという感情だけ」。横浜DeNAの森敬斗内野手(20)は静かに決意を口にした。多くは語らなかった。正念場のシーズンになることは分かっているからだ。
秋季練習本期間初日は、基本的なトレーニングと向き合った。田中内野守備走塁コーチが近距離から手で転がすゴロを確実に捕球する練習を繰り返す。その後、ノックバットの打球を受ける頃には日が傾き始めていた。「もう少し安定性を求められていると思うので、高めていきたい」と、単純な動きをひたすら反復した。
桐蔭学園高からドラフト1位で入団して3年目の今季は、遊撃の定位置を手にすると思われた。しかし、春季キャンプ終盤に負傷離脱。復帰後は強肩で存在感を示したが、61試合で打率2割3分4厘にとどまり、大和と柴田を押しのけるほどの結果は残せなかった。
三浦監督は「期待はしているが、敬斗がポジションをつかむためには課題は山積み。課題? 全部」と語る。厳しさは期待の裏返しでもあるだろうが、全てにおいて向上が必要であることも事実だ。
ドラフト会議で3位指名された林(駒大)は、二塁が本職ながら遊撃で起用の可能性もあり、競争相手は上の世代だけではなくなっている。「意識していないと言ったらうそになる」と前置きした森は、自分に言い聞かせるように続けた。「自分のことに集中して、やるべきことをやっていれば大丈夫」。クライマックスシリーズ中に周囲を驚かせた丸刈りは、少し伸びていた。
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