「1番・中堅」の座を確固たるものにする。横浜DeNAの桑原将志外野手(29)が春季キャンプに前乗りして沖縄県宜野湾市で自主トレーニングを行っている。「もう一回(打率)3割を打ちたい。(守備は良くて)あとはバッティングだけと言われるのは疲れた」。体の前でボールを捉えることを意識した打撃を体に染み込ませている。
宜野湾の室内練習場。明るい性格のガッツマンが、黙々とバットを振り込んでいた。「体のラインにボールを一切入れない。いつもは丁寧に体づくりから入るが、とことん前で打ったろうって感じ」
名付けて「地面のボールも全部掘り出すぜ打法」。イメージはゴルフのバンカーショットだ。満面の笑みで爆笑を誘ったが、練習での顔つきは真剣そのものだ。
2021年に自己最高打率3割1分をマーク。「自分の形ができてきた」と手応えをつかんだ一方で、昨季は「理想にとらわれすぎて、バットが出なかった。積極性を失う時期もあった」。こだわりを持つリードオフマンを外されたりと、打率は2割5分7厘と大きく落ち込んだ。
効率よく、体の前方向に力をどう伝えるか。この時期に初めてという前さばき練習。「試合で崩されたときにバットが出ない、力が出ないとなるともろくなる。地面を掘り出す気持ち。練習でそれぐらいやっとかないと、試合でも打ちにいけないので」と狙いは明確だ。
3割バッターに返り咲き、全試合で1番センターへ。「こだわりはないと言ったらうそになる。全試合、そこのポジションを任される信頼を得たい」。正月のおみくじは小吉。「マイペースでやれ。それを貫けと書いてあった」。はやる気持ちを抑えつつ、着実に歩みを進める。
外部リンク