プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)が20日、東京都内のホテルで開かれ、横浜DeNAは大阪桐蔭高の松尾汐恩捕手を1位指名し、交渉権を獲得した。将来性豊かな高校生の単独指名に成功しただけでなく、即戦力の社会人投手、大学生野手を指名するなどバランス重視のドラフトとなった。
高校生捕手の1位指名は1988年の谷繁以来、34年ぶり。強肩強打を誇る松尾の一本釣りに成功し、三原一晃球団代表は「U18ワールドカップの活躍は目を見張るものがあったし、打撃の柔らかさ、肩の強さを高く評価した」と満足そうだ。
今シーズン扇の要を担った嶺井、戸柱、伊藤は全員30代で、24歳の山本ら若手の突き上げが待たれる。三浦監督はドラフト会議前に昨年と同じ神社に足を運んだことを明かし、「一日でも早く、小園との若い2人のバッテリーが横浜スタジアムで実現することを本当に楽しみにしている」と期待を寄せた。
投手は2位の吉野と5位の橋本が即戦力だ。多彩な変化球を操る吉野は先発候補で、層の薄い右の陣容に割って入れるか。橋本は150キロ超の直球とフォークボールを武器とする本格派。伊勢と入江に続く中継ぎとして台頭したい。180センチの左腕、4位の森下は次代のエース候補として将来を嘱望されている。
補強ポイントだった内野陣は、広角に打てる打撃と俊足が持ち味の林を3位に。遊撃での起用も見込まれ、来季4年目の森のライバルになる可能性がある。三原代表は「森だけではない。各ポジションで高いレベルの競争が行われることがチーム力の向上につながる」と改めて強調した。
昨年の小園に続き、1位は2年連続で高校生。親会社がディー・エヌ・エー(DeNA)となった2012年以降、即戦力の獲得を重視してきた球団にとって、新たなフェーズに入ったことの証左だ。育成選手も球団史上最多の5人に上った。
「育成の部分には今後より比重を置くことになる。ようやく楽しみな高校生を取れるようになってきた。今、次の段階に移行しようとしている」。今回のドラフトを最後にチームを去る三原代表は、感慨深げにそう語った。
【横浜DeNAの指名選手一覧】
【1】松尾 汐恩(18)捕手 大阪桐蔭高 178センチ、78キロ 右投げ右打ち
【2】吉野 光樹(24)投手 トヨタ自動車 176センチ、80キロ 右投げ右打ち
【3】林 琢真(22)内野手 駒大 174センチ、74キロ 右投げ左打ち
【4】森下 瑠大(18)投手 京都国際高 180センチ、75キロ 左投げ左打ち
【5】橋本 達弥(22)投手 慶大 181センチ、84キロ 右投げ右打ち
<育成>
【1】上甲 凌大(21)捕手 四国IL愛媛 184センチ、90キロ 右投げ左打ち
【2】鈴木 蓮(18)内野手 滋賀学園高 183センチ、86キロ 右投げ右打ち
【3】今野 瑠斗(18)投手 東京都市大塩尻高 182センチ、86キロ 右投げ右打ち
【4】渡辺 明貴(22)投手 BC茨城 188センチ、105キロ 右投げ右打ち
【5】草野 陽斗(18)投手 東日本国際大昌平高 175センチ、87キロ 右投げ右打ち
外部リンク