きょうも熱い声援がこだまするプロ野球・横浜DeNAベイスターズの本拠地、横浜スタジアム(横浜市中区)。新型コロナウイルス禍がほぼ収束し、いつもの盛り上がりが帰ってきた球場に今季、球団が長年抱えてきた課題を解決するサービスがお目見えした。球団と地元企業が手を携えた試みとは果たして─。
大きな悩み、それは…
「開店休業」とされたかつての光景は、今やない。
2011年末に親会社がIT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)となり、16年に横浜スタジアムを連結子会社化。一体感のあるイベントや工夫を凝らした座席の整備など、さまざまなアイデアにあふれた球場は、コロナ禍を乗り越え、連日のように大入りが続いている。
市民らの出足を後押ししている一つが、球団が開発したオリジナルフードたちだ。横須賀市の選手寮「青星寮」で若手選手の胃袋を支える「青星寮カレー」、スタジアムの関係者食堂で親しまれてきた「目玉チャーハン」…。だが、ここには大きな問題が生じていた。人気ゆえに起きる注文するまでの待ち時間である。
横浜DeNAベイスターズで飲食グループのチームリーダーを務める牧山佳奈さんは言う。
「オリジナルフードはありがたいことに、ものすごく需要がある。ですが、いざ買おうと思うと長いときだと1時間弱も並ぶケースがあった。これは野球を観戦する球場のあるべき姿ではありません」
確かに試合を決する一球一打を見逃しては、本末転倒に他ならない。
簡単、早い、おいしい
そこで今季導入したのが、スマートフォン一つで球団のオリジナルフードを注文できる「ハマスタモバイルオーダー(HaMaMo!)」だ。
仕組みは簡単。(1)球場内やあちこちに掲示されているQRコードなどから専用サイトにアクセス(2)商品を選択(3)電話番号とメールアドレスを入力(4)クレジットカードまたはauペイの決済方法を選択─で注文は完了となる。
あとは商品完成の通知を受け取ったら、「BAYSIDE 12通路」(サービスセンター前)階段上にある専用店舗「B Original Food Base」で受け取るだけ。最大のメリットはもちろん待ち時間の解消にある。
「ピーク時を除けば、注文から受け取るまでの時間は最短5分ぐらい」と牧山さん。メニューにオリジナルフードの看板商品をそろえたのも好評の理由の一つだ。「人気フードを購入するには複数の店舗を回らないといけないが、『HaMaMo!』であれば1回の注文で済むのも大きな特長です」。多いときは1日で3千点を売り上げるという。
システム導入の波及効果もあったそう。横浜スタジアム販売部の滝沢駿哉さんは「『HaMaMo!』の成果と各店舗の努力が相まって、横浜スタジアム全体でフードの待ち時間も短縮化が図られています」とうなずいている。
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