横浜DeNAで今季ファーム投手コーチを務めた小杉陽太氏(37)が来シーズン、1軍で投手コーチを担当する。現役引退後は会社経営の傍ら独学で野球におけるデータ活用の知見を深め、2022年に指導者として古巣に復帰した異色の経歴を持つ。培った知識と2軍の実地で得た経験を1軍でどう生かすか。ビジョンを聞いた。
-ファームでの2年間のコーチ経験を踏まえ、1軍ではどのようなことに取り組みたいか。
「1軍と2軍の連携をさらに強化したい。選手育成は1軍と2軍が一気通貫で取り組むべきだと考えている。2軍で調子が良い選手、スタッツ(成績)が良い選手、育ってきた選手に1軍で機会を与え、さらに成長させる好循環をつくれたらいい。この2年間ファームで見てきた選手が1軍に上がった時に、それぞれの特徴を生かすサポートができると思う。また1軍でも変わらずに、データを活用したコミュニケーションに取り組みたい」
-1軍のコーチとして大事にしたいことは。
「僕らが考えている意図をなるべく選手に理解してもらった方がいいと思う。選手が『首脳陣が何を考えているか分からない』という状態にならないようにしたい。(ローテーションなどの)運用に関しても言える範囲で選手に考えを伝え、いい準備で試合に臨んでもらうことが大事。年齢が選手と近いので、同じ目線でいることも意識したい」
「8、9月の大事な時期に良いコンディションで戦えるようにワークロード(試合やブルペンでの球数、ランニングなどの運動量)の管理を各所と連携して取り組んでいきたい」
-精通するデータは、どのように活用するか。
「選手への説明の解像度を高くしたいと思う。例えば、『球が弱くなってきた』という指摘は、それは単に見た目を指しているのか、球速が落ちているのか、それとも回転数が落ちているのか。このようにより具体的な伝え方に変えていきたい。アナリストやデータサイエンティストとコミュニケーションを取りながら選手に適切な伝え方を考えていきたい。細かい内容はこちらが把握しておけば良いので、必要なことだけに絞って伝えていくつもり」
-ファームのコーチを経験して自身に変化はあったか。
「1年目(2022年)はコーチング(問いによって相手の学びや気づきを引き出す指導)が全くできなかったので意識して変えた。実際に僕が選手に話している時の姿を撮影してもらい、どんな表情や口調で話しているかを客観的に認識して、至らない部分は改善に取り組んだ。それは継続したい」
「以前の僕は自分が正しいと思っていて、『数字はうそをつかないから』と言ったりしていた。ただ、それは違っていてパフォーマンスに関しては感覚も大切。ティーチング(答えを与える指導)ではなくコーチングをしなければいけない」
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