夕刻過ぎの室内練習場。ほとんどの選手が宿舎へ戻る中、高卒4年目の森は一心不乱にバットを振っていた。開幕スタメンと規定打席到達が今季の2大目標。「去年できなかったことをやる」。その目は本気だ。
昨シーズンはキャンプ最終日のオープン戦で負傷離脱。自己最多の61試合出場と着実にステップアップしてきたとはいえ、遊撃の定位置は確保されていない。一番の課題と受け止める打撃で確実性を身に付けることに重きを置く。
バットの軌道が遠回りする悪癖があり、石井チーフ打撃コーチと最短距離のスイングを模索している。「(コンパクトに)しっかりとバットを出すことで、ボールを長く見られる」。ロングティー打撃では、ライナー性の当たりで何度も柵越えも放った。それでも「あー違う」との叫び声。理想は高い。
オフは桐蔭学園高の大先輩、鈴木大(楽天)の自主トレーニングに参加した。「人間性も、練習への姿勢も見習いたい」と、野球人生で最も走り、バットも振り込んできた自負がある。
レギュラーを争う新たなライバルは、中日で5年間レギュラーを張ってきた京田。実績や経験ではかなわない。宜野湾のグラウンドで「意識して練習はしていた」と認めるが、あくまで最大の敵は自分にある。
勝負の一年。「変に考えない。誰が来ても、今年自分がやることは変わらない」。21歳のスピードスターは覚悟を固め、また白球を打ち込んだ。
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