新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外出を控える、在宅勤務など、ストレスを感じやすい今の時期には、いかに自分のストレスをケアできるかが重要になってくる。
そこで今回は、ストレスコーピングについて、その基本的な方法を紹介する。
ストレスコーピングとは
「ストレスコーピング」とは、人間がさまざまな場面でストレスを感じたとき、上手くストレスに対処する技術・技法のこと。
ストレスには、ストレスのもとになる刺激である「ストレッサー」、その刺激をどのようにとらえるかの「認知(評価・解釈)」、心身が起こす症状である「ストレス反応」の3つの構成要素で成り立っている。
ストレスを放っておくと心身に症状をもたらし、自律神経の乱れ、健康を害すること、気分の落ち込み、集中力の低下、果てはうつ病などにもつながるといわれる。
そこでストレスコーピングは、早期からストレス反応を予防するため、対処するために、心理的・身体的負担を減らすのに役立つ。
ストレスコーピングは、大きく分けて「問題焦点型」「情動焦点型」「ストレス解消型」の3つに分けられる。
ストレスコーピングの3つの型とそれぞれのやり方
ここで、ストレスコーピングの3つの型とそれぞれの実践方法の基本を見ていこう。
【問題焦点型】
ストレッサーに直接働きかけ、問題を明らかにし、その問題を解決に向かわせる方法。
1.問題焦点型コーピング
ストレスの原因となっていることを、根本から解決する方法。
2.社会支援探索型コーピング
ストレスの原因となっている事柄について、周囲の人に相談し、アドバイスなどを得ることで問題を解決する方法。
【情動焦点型】
ストレッサー自体ではなく、ストレッサーによる刺激によって生じた情動に焦点を当て、感情をコントロールする。原因への注意を緩和するのが目的。
3.情動焦点型コーピング
ストレッサーにより、感じた悲しみや苦しみなどの感情を誰かに話すことにより、感情の整理や発散を行う方法。
4.認知的再評価型コーピング
ストレッサーとなる原因に働きかけるのではなく、ストレッサーに対する見方や捉え方を修正することで、自分の認知を変え、ストレスを緩和する方法。
【ストレス解消型】
ストレスを感じた後に、ストレスを感じた感情を発散させる方法。いわゆるストレス発散と世の中でいわれている方法。
5.気晴らし型コーピング
日常生活で手軽に行える、ショッピングや外食、カラオケ、音楽鑑賞、スポーツ、レジャー、旅行など、気分転換を図ることでストレスを解消する方法。
6.リラクゼーション型コーピング
瞑想やヨガ、アロマテラピーなど、リラクゼーションによりストレスを緩和し、感情を穏やかにする方法。
いま、世界中がこれまでにない状況になっている。しかし、感じているストレスは人それぞれ異なる。
まずは自分が抱えているストレスは、どの型で対策ができるか確認し、できるものは実践みると良いかもしれない。
次の記事では、ストレスコーピングを実践するときのコツや、ストレスコーピングがうまい人と下手な人の違いを踏まえた、うまくやる方法を専門家に聞いて解説する。
【監修】
菊池啓子(きくちひろこ)さん
キャリアコーチ 国家資格キャリアコンサルタント
株式会社リクルートの営業を経て独立。企業研修トレーナーとして従業員30名ほどの中小企業から大手上場企業まで50社以上の企業研修を実施。年間登壇数は100回を超える。また、アスリートのメンタルサポートや3つの大学で講師としてキャリアデザインを担当。
著書に『一週間で完成!内定獲得できる本~ストレスに負けない就活コーピング~』(祥伝社)。
https://kikuchi-hiroko.jimdofree.com/
取材・文/石原亜香利