横浜市立大学の研究チームが、横浜市の一般市民1277人を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体価に関する調査の結果を発表した。調査結果によると、中和抗体の保有率は、従来株においては約87%、デルタ株には約74%であるのに対し、オミクロン株においては28%にとどまっており、このことが「第6波」の感染拡大が生じた理由の一つと考えられるとしている。
横浜市立大学の研究チームが、横浜市の一般市民1277人を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体価に関する調査の結果を発表した。調査結果によると、中和抗体の保有率は、従来株においては約87%、デルタ株には約74%であるのに対し、オミクロン株においては28%にとどまっており、このことが「第6波」の感染拡大が生じた理由の一つと考えられるとしている。 調査では、第6波の最中の2022年1月30日から2月28日にかけて、20~74歳の横浜市民から無作為抽出された対象者において、新型コロナウイルスに対する抗体価とオミクロン株を含む変異株に対する中和抗体保有率を評価した。 研究に参加した1277人を対象に、新型コロナウイルスに対する2種類の抗体価を測定したところ、約94%の対象者が、ワクチン接種もしくは感染により産生されるSP抗体が陽性であった。ワクチン接種回数が多いほど、SP抗体価が高く、2回目接種者では、モデルナ製の方がファイザー製よりもSP抗体価が高い傾向があった。 次に、対象者から無作為抽出した123人に対し、従来株、デルタ株、オミクロン株BA.1、オミクロン株BA.2に対する簡易測定法により中和抗体保有率を調査した。すると、中和抗体の保有率は、従来株においては約87%、デルタ株には約74%、いずれのオミクロン株においても約28%であった。さらに、3回目のワクチン接種から7日以上経過した66人を対象に調査したところ、両オミクロン株において中和抗体保有率は100%であった。 研究成果はプレプリント(査読前論文)としてメドアーカイブ(medRxiv)で3月27日に公開された。同研究チームによると、一般住民から無作為抽出された集団を対象として、オミクロン株BA.2を含む変異株に対する中和抗体保有率を評価した研究が報告されるのは初めてだという。 (中條)
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