パソコンと一緒に使うことが当然のようなA4サイズ紙プリンターが、今も昔のようにたくさん売れているのかどうかよく分かっていない。我が家では、ただ一人、今年から年賀状を止めることに決めた筆者にとって、パソコン用プリンターは一挙に稼働率の落ちた周辺機器の代表だ。
一方、我が家に昨今やけに増えてきたのは、スマホにBluetoothで接続して、スマホ内部のコンテンツをいつでもどこでも自由に印刷出力できる小さな感熱プリンターの類だ。今回ご紹介するネモニック(NEMONIC)も専用カートリッジに入った感熱ロール紙に、自由なレイアウトでさまざまなコンテンツを印刷して自分専用の付箋紙を出力するミニプリンターだ。
ネモニックの外形サイズは、幅112×奥行き112×高さ90㎜のほぼ立方体サイズだ。感熱ロール紙は一般的な付箋紙カラーのホワイト、イエロー、ピンク、ブルーの4色が用意されている。カートリッジ本体の一部に小さなマグネットが付いており、その位置によってネモニック本体にセットした時に、現在、何色のカートリッジがセットされているかが分かるように作られている。ネモニック本体正面下の右側のLEDライトの色が、現在セットされている付箋紙の色だ。
スマホアプリをまず設定しよう
ネモニックでオリジナルの付箋紙を作るには、まずスマホに専用アプリを導入する。AndroidスマホならGoogle Playから「nemonic-Sticky Notes App」という名前のアプリをダウンロード、インストールする。IOSの場合も同様だ。
ユーザーは付箋紙の使用目的に応じて、アプリ上でカテゴリー別に14種類も用意されたテンプレートからお気に入りのデザインを選択して、自分専用のセミオーダーメイドの付箋紙を簡単に作ることができる。
テンプレートには、付箋紙には付き物の「やることリスト」や「カレンダー」をはじめ、メモ付箋のデザインを集めた「便箋」、たくさんのフォーマットやクリップアートの入った「記念日」、楽しいデザイン満載の「文字」、付箋紙の目的を広げる「書式」など、多くの楽しくて便利なテンプレートが満載されている。
お好みのテンプレートを選んだら、テキストを追加したり、画像のサイズを変更したり、手書きのイラストを使うことや、付箋紙の糊の位置を上下左右のお好みの位置にに変更したりすることができる。
ユーザーが作ったお気に入りの常用デザイン付箋紙を印刷出力
付箋紙のサイズは、目的のテンプレートを選ぶ際に4つあるお好みのサイズを選ぶことができる。幅は常時80㎜で、80×28mm、80×56mm、80×80mm、104×80mmの4サイズから選ぶことができる。80×80㎜の正方形以外は90度回転したフォームも選択できるので、実質的には7種類のフォームサイズがある感じだ。
マイノートにはユーザーが作ったお気に入りの付箋紙を収納しておき、いつでも必要になったら取り出して即印刷することができる。また常時使う付箋紙としてお気に入りのデザインを設定したければ、マイノートに保存した中から気に入った付箋紙を長押しし、"プリンターテンプレートとして保存"すれば、スマホと連携しなくてもいつでもネモニックの上面右角のボタンを押すだけで、付箋紙ディスペンサーのようにお気に入りの常用デザイン付箋紙を印刷出力してくれる。これはきわめて便利だ。
筆者は自分専用のメアド付き"T教授の戦略的衝動買い"付箋紙を、プリンターテンプレート付箋紙として登録している。付箋紙の登録、変更はいとも簡単なので、いつでもプリンターテンプレートの差し替えは可能だ。またプリンターテンプレートとは別に二モニック本体のボタンを2秒長押しすることで、直前に印刷した付箋紙と同じものを印刷できる機能もある。
QRコードやバーコードの付箋も作ることが可能
さて付属のテンプレートを活用する以外にネモニックは、予め用意されたツール類を使ってオリジナル付箋紙を作成できる。ツールには、やることリストを作成や、QRコードメーカー、バーコードメーカー、nemonic Mosaic、ウェブプリントの5種類がある。
"やることリストを作成"はテンプレートにある"やることリスト"と紛らわしいが、後者のテンプレートはあくまで手書きToDoのフレームデザインの作成であって、前者はコンテンツまで含めてスマホで入力して印刷する形式だ。
"やることリストを作成"はハードコピー(付箋紙印刷出力)以外に、アプリ内にデータとして保存されるのでバックアップとしても安心だ。またスマホ内部のマイノート以外に、設定で指定できるクラウドストレージのDropboxにも保存できるので、仲間で共有もできて便利だ。
QRコードやバーコードも考えればいろいろ有意義な使い方が、見つかるだろう。オフィスのWi-Fiルータのゲストパスワードなどを予め設定して、先ほどの"プリンターテンプレート"として登録しておけば、来社したお客さんが簡単にゲストパスワードを知ることができるだろう。
nemonic Mosaicはペットの写真などを複数の付箋紙に印刷してジグソーゲーム風にしてみたり、単体ならちょっと変わったクイズ形式の付箋紙としても使えそうだ。最後のウェブプリントは、任意のウェブページの全スクロールサイズを付箋紙サイズの用紙に分割して表示してくれるので、欲しい部分だけをチェックして印刷できる便利な機能だ。
カスタマイズ付箋紙のつくり方を紹介
さて、これまでのところでネモニックのできることの概要は、ご理解いただけたと思う。最後に今回筆者が作成した、自分専用のカスタマイズ付箋紙のつくり方の工程を簡単にご紹介したい。
まずメニューの最下段左端にある「新しいノート」を選ぶと、現在の付箋紙カラーの80×80㎜サイズのブランクフォームが表示される。もちろんフォームサイズは、前述の7種類のサイズから任意のものを選ぶことができる。
今回はまず、連載のトップで使用しているT教授のイラストを取り込み、少し縮小して付箋の左下辺りに配置した。続いて連載のテーマである「T教授の戦略的衝動買い」というテキストとメールアドレスを入力してサイズ調整、適当な位置関係で配置した。
たったこれだけの作業で、筆者専用のオリジナルデザイン付き箋紙ができ上がってしまう。全工程でかかった時間は約3分ほど。最後は付箋紙背面の糊付け位置(内部にスラッシュが3個横並びのオレンジ色の丸いマーク)だが、上辺のこの位置のままでよければ、これで完成だ。あとは印刷するだけだ。
実際に同じフォーマットでよければ感熱紙カートリッジを変えるだけで、即座に色違いの専用付箋紙がいくらでも印刷できる。プリンターテンプレート付箋として登録さえしてしまえば、必要な時にいつでもネモニック本体のボタンを押すだけで付箋紙専用ディスペンサーのようにいくらでも印刷されて出てくる。
最後になったが、ネモニックはスマホとのBluetooth接続以外に、パソコンとのUSBケーブルによる接続もサポートされている。実際に筆者は、Windows 10で動作しているThinkPad 25に接続して使っている。
基本的にはスマホ用のnemonic-Sticky Notes Appと類似しているが、スマホアプリの方が機能はかなりリッチだ。ただひとつおもしろいのは、ネモニックの窓フレームを開いて、その窓フレームをマウスで自由にサイズ変更、場所移動させて、その時に見えるデスクトップ上のありとあらゆるものをスクショして印刷出力できる機能が付いている。単機能で小さなアプリだが、これはなかなか便利な使い方ができそうでうれしいモノだ。
筆者個人的には、大きなサイズのカラーインクジェットプリンターにはどんどん興味の薄れる昨今だが、毎回、新しいチャレンジを感じることのできるネモニックをはじめとする小さなプリンターは、今年も絶対に目が離せない。
今回の衝動買い
アイテム:ネモニック(nemonic)付せんメモプリンター
・購入:+Style
・価格:1万7380円