東京大学大学院工学系研究科の樋野公宏准教授らは、2016年7月の「ポケモンGO」リリース前後における中高年の歩数で、位置情報ゲーム利用者と非利用者の変化に差があるか調査した。リリース前後9ヵ月の歩数を分析すると、位置情報ゲーム利用者はポケモンGOのリリース後、非利用者と比べてよく歩いており、1日平均での歩数の差は最大の月で約583歩に達するとわかった。
調査の対象者は、横浜市が実施する「よこはまウォーキングポイント事業」の参加者のうち、40歳以上で無作為に送付されたアンケート調査の回答者。分析期間はリリース前の1ヵ月(2016年6月)および、リリース後の8ヵ月(2016年8月~2017年3月)。2017年5月時点の位置情報ゲーム利用者46名(平均年齢56.6歳)と、非利用者184名(平均年齢57.3歳)の2群の歩数を比較。2群で性別、年代、事前の歩数水準が同等になるように揃えた。
同一の対象者から多時期にわたり繰り返し測定して比較する「繰り返しのある二元配置分散分析」という方法で、リリース前後の2群の歩数の変化を分析。リリース後の8ヵ月のうち11月〜2月の3ヵ月で、リリース前と比べた歩数の平均変化量に2群で統計的に有意な差があり、利用群はよく歩いているとわかった。非利用群が歩数を減らす冬季でも、位置情報ゲームの利用群は歩数を維持したという。
属性別分析では、とくに55〜64歳の利用者がよく歩いているとわかった。
本研究の発表者は樋野公宏准教授のほかに、同大学大学院工学系研究科都市工学専攻の浅見泰司教授、同じく大学院の医学系研究科公衆衛生学教室である李廷秀特任准教授がいる。今後も引き続き横浜市と協力して、都市環境における歩行の促進・阻害要因とその影響を明らかにする予定としている。
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