新たに登場したiPhone 8シリーズやiPhone X。共にカメラ機能が向上したり、iPhone Xでは有機LEDが採用されていますが、共通する新機能に「ワイヤレス充電」があります。Apple純正のワイヤレス充電器は来年の2018年に発売されますが、現状はさまざまなサードパーティ製品が市場に存在しているのが現状です。
さらに、Appleは今年の年末のソフトウェアアップデートの配布による「高速ワイヤレス充電」をアナウンス中。そんなことから、新しいiPhoneユーザーはワイヤレス充電器の購入に頭を悩ませていることでしょう。もちろん、筆者もそのひとりです。
ワイヤレス充電器購入の注意点
筆者が購入したのは「mophie wireless charging base」(アップルストアで購入)。その理由は、高出力のACアダプタが同梱であること。そして、Appleのアップデートに対応していることから。年末に配布されるソフトウェアアップデートでは、現状の5Wほどの出力から、50%向上した7.5Wになると説明されています。
ワイヤレス充電器のなかにはACアダプタやケーブルを同梱せず、iPhoneに同梱されたApple社製のACアダプタなどを利用するものもあります。その場合、年末のアップデートに充電器が対応していたとしても、新たに高出力ACアダプタや専用ケーブルを購入しなければならず、余計な出費が必要になります。
また、iPhoneが対応しているワイヤレス充電規格「Qi」には、第一世代(v1.0)の「電磁誘導方式」と次世代(v1.1)の「磁界共振方式」があります。旧「電磁誘導方式」は送電側と受電側の2つのコイル間で磁束を共有して充電する方式で、お互いのコイルの位置がずれると充電器が発熱しやすくなるのが欠点です。新しい「磁界共振方式」はラジオの送受信に似ていて、送電側と受電側の距離を大きくできる特徴があります。
ワイヤレス充電器導入のポイント
・Appleの2017年末のソフトウェアアップデート「高速ワイヤレス充電」に充電器が対応しているか。
・高出力のACアダプタやケーブルが付属しているか。
・Qiの最新バージョンが使われているか。スペックが記載されていない場合、レビューなどで「充電中に発熱する」「熱くなりやすい」というコメントがないかどうかを確認する。
充電効率を確認するには
ワイヤレス充電はライトニングケーブルを直接つなぐ有線の充電と違い、多少のロスがあります。さらに、充電器を置くテーブルの材質やiPhoneケース、製品の個体差などにも影響を受けるため、正確な充電効率を数値化するのが難しいのが現状です。しかし、参考にできる数値もあります。
まず、Qi規格に正しく準じていれば、送電効率が70%~80%程度であること。そして、充電器(もしくはACアダプタ)の入力電力を見ることです。
筆者が購入した「mophie wireless charging base」の充電パッドへの入力は19V/1.3A。それぞれのスペックは充電器やACアダプタに記載されていますが、極小文字で、なおかつ目立たない色のインクで記載されています。単純に計算すると1.9V(電圧)×1.3A(電流)=24.7W(電力)。Apple製の(iPhoneに同梱されている)ACアダプタは出力5Wですから、iPhoneのワイヤレス充電用としては十分なスペックです。
「mophie wireless charging base」のケーブルは標準的なUSB/Lightningではなく電源専用ケーブル。おそらく純正のほぼ2倍の電流を流すための対応で、専用線なので送電効率も良さそう。接続すると充電パッドと一体化するデザインもクールです。
単純計算であれば、24.7Wの70%なので、ワイヤレス充電が有線接続よりも3.5倍高速充電されるはず。しかし、Qi規格(Volume I Low Power)で最大5Wと定められていることがボトルネックになると推測しています。2週間ほど使用した感覚としては、充電パッドの発熱もほとんどなく、純正アダプタとのライトニンング接続と充電時間もほぼ変わらないので、Qi規格の最大値が実現されているといえるでしょう。こうした結果から、おそらく年末の7.5Wへの50%向上は堅実なアップデートだと予想しています。
最後にワイヤレス充電器とiPhoneを離して実験をしてみましたが、トランプ20枚ほど(約7ミリ)の間隔があっても充電ランプが点灯。ただし、こうした特殊な状況での発熱や充電効率などの検証はしていないのでご注意ください。