これからの時期、海や川など水辺に出かける機会も増えるかもしれませんね。水辺は魅力がいっぱいですが、事故に気をつける必要もあります。水の事故を防ぐために大切なことを、水難学会副会長で、東京海洋大学准教授の田村祐司さんに聞きました。(近藤理恵)
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河川での事故が多い
警察庁が6月に発表した資料によると、去年1年間に水の事故にあった人は前の年から78人増えて、1625人でした。そのうち子どもは183人です。子どもの死者・行方不明者31人のうち、発生場所の58%が河川です。
学校では、水の事故から身を守る教育が進んでいます。2020年度から新しい学習指導要領(学校での学習の内容のめやすを文部科学省がつくるもの)が実施され、小学校高学年の水泳の授業で「安全確保につながる運動」として、体をあおむけにして水面にうく「背うき」が組みこまれました。
解説
多くの事故を防げる
田村さんは「水辺で遊ぶときは必ずライフジャケットを着てほしい」と言います。「水辺の事故の多くは、ライフジャケットを着ていれば防げた可能性が高い」
川は一見、浅くゆるやかな流れに見えても、実は深くなっていたり、流れが急に速くなったりすることがあります。「海でも、親が目をはなしたときに、波打ち際で遊んでいた子どもが海の中に入ってしまうことがあります。つりをしていて、防波堤から落ちてしまう事故もあるので、注意してほしい」。ため池も、事故が起こりやすい場所の一つです。「のり面」とよばれる斜面で囲まれていることが多く、自力ではい上がることはむずかしい構造になっています。
おぼれたら「ういてまて」
もし、ライフジャケットを着ていないときに、おぼれてしまったら服を着たまま水面にあおむけでうき、助けを待つ「ういてまて」が合言葉です。手足は大の字に広げます。あごをつき出し、背すじをのばして、大きく息をすいます。手は水面より下にします。靴やサンダルは「うき具」代わりになるので、ぬぐ必要はありません。「『助けて!』と声を出したり、手をふったりすると、もっとしずんでしまいます」
もし、友だちがおぼれてしまったら、周囲の大人に助けを求め、119番に電話してもらいましょう。ペットボトルやランドセルといった身の回りにある「うくもの」を投げて、それにつかまってもらいます。「ただ、川のように流れが激しいと、ういて待つことはできないこともある。水辺で遊ぶときはとにかくライフジャケットを着てほしい。水辺には、魅力的な生き物や植物が生息しています。ぜひ、安全に楽しんでください」
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