警報レベル上回る患者数
冬に流行するイメージが強いインフルエンザ。いま沖縄県で患者が急に増えています。季節性のインフルエンザとして、この時期にここまで流行するのは初めてのことです。国立感染症研究所の砂川富正さんは「このままインフルエンザの全国的な流行が始まるかもしれない」と話します。(小勝千尋)
東京でも最速「流行開始」
国立感染症研究所が1日に発表した直近1週間(9月16~22日)の全国1医療機関あたりの平均患者報告数は1.16人。特に沖縄県では警報レベルとされる30.0人を上回る52.22人に達しています。
通常、全国の平均患者報告数が1.0人をこえると「全国的なインフルエンザの流行が始まった」と判断しますが、今年は沖縄県での流行が全国の平均値を大きく引き上げているため、まだ様子を見る必要があるそうです。
どうして沖縄県で大流行しているのか、理由ははっきりとはわからないと砂川さんは話します。ただ亜熱帯気候の地域では、夏でも流行することが知られています。沖縄県でもここ数年、夏にインフルエンザが流行することがあるそうですが「これだけはやるのは異常」といいます。「冷房のきいた乾燥している部屋や、せきなどによる飛沫感染で広がっているのでしょう」
また、砂川さんが心配するのは、沖縄県以外の地域でもインフルエンザの患者がみられるようになっていること。東京都は9月26日、季節性では過去最速の流行開始を発表しました。「沖縄県での流行がおさまっても、このまま全国でインフルエンザが流行入りすることも考えられます」
今年は早めに予防接種を
砂川さんは今年は早めに予防接種を受けることをすすめます。
本格的に流行してから病院に行くとかえってうつされてしまうこともあります。「身の回りにインフルエンザの人がいて、急な高熱、体の節々の痛みが出たらうつっているかもしれません。悪化するようなら病院に行きましょう」
水分をとり、薬を飲んで安静にすることが大切です。熱が下がってから2日間(熱が出てから最低5日間)は、うつる可能性があるので、学校などへ行けません。
もしも家族がかかったら、感染が広がるのを防ぐために、できるだけ一つの部屋に入ってもらい、ドアノブなどさわったところはアルコール除菌することが効果的だといいます。
インフルエンザは、せきやくしゃみ、会話をしたときに飛んでくる唾液による「飛沫感染」と、患者が口や鼻にさわったあとにふれた場所をさわり、その手で自身の口や鼻をさわることによる「接触感染」によってほかの人にうつります。
飛沫感染を防ぐには、患者自身がハンカチを口に当てたり、マスクをしたりすることが大切です。接触感染は、口や鼻にむやみにさわらないことや、こまめな手洗いなどで予防ができます。
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