Q あなたの学校生活をよりよくするための意見を述べなさい。
前回は「賛成・反対など主張や意見が二つに分かれる」というテーマ、すなわちメリット(賛成の意見)とデメリット(反対の意見)がある場合の書き方を紹介した。今回はどうだろうか。「あなたの学校生活をよりよくするための意見」とあるのだから「学校生活のなかでどのような問題があるのかをみつけなさい」というのが出題の意図だ。こうした場合、次のような構成で書こう。
① 問題提起(だれが、どのように困っているのか)
② 原因分析(そのような状況になるのはなぜか。改善できない理由はどこにあるのか)
③ 解決策(だれが、何をするべきなのか)
この構成では、問題提起で何を書くかによって方向性が大きく左右される。
【ガッカリ答案】
私たち英語部の活動をふり返ると、最近は部員のやる気がないように思う。英語を学ぶというより、映画をみたり歌を歌ったりして楽しんでいるだけのように感じる。
このようになってしまったのは募集のときに「楽しい」という点をアピールしすぎたからではないだろうか。
そこで、部員を募集するときに楽しいだけでなく、厳しさもあるという点も強調するべきだ。
「やる気がないように思う」というのは客観的な事実なのだろうか。人の心はみえないし、数値で測定することもできない。やる気がないことを問題点に挙げるなら、実際の言動など目にみえる根拠が必要だ。
英語の教材として映画や歌は一般的だ。これらを楽しむこと自体に問題があるのだろうか。問題だとするなら、楽しむ一方で失われているものの説明がほしい。
雰囲気やイメージで書きはじめると、問題を提起するときの説得力を欠くだけでなく、解決策の方向性もずれてしまいがちだ。部員を募集するときに厳しさをアピールしても、いまの部員のやる気に変化がうまれるのだろうか。
現実的な解決策に帰結
説得力がある小論文を書くこつは「目にみえる事実」を挙げ、問題を提起する点にある。
【スッキリ答案】
私が所属している英語部では、この1年で1人も英検2級に合格していない。例年、10人前後の合格者を出していた先輩たちとくらべ、実力の低下は明らかである。
これは英語の映画をみたり歌を歌ったりするばかりで、文法を理解したり、積極的に英語を使ったりする機会が十分ではないからだと考えられる。
映画のあとで勉強会を開いてせりふの表現について学んだり、歌のかわりにスピーチやディベートをとり入れたりするなど、活動の内容を改善するべきである。
目にみえる事実として英検2級の合格者数を示し、説得力をもたらしている。事実にもとづいて問題提起するからこそ、活動内容の改善という現実的な解決策に結びつくのだ。
解説 鈴木鋭智 東北大学大学院文学研究科修士課程修了。著書は『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』(KADOKAWA)ほか。CSS公務員セミナー顧問講師
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