白湯ブームの傍らで、一部では「白湯は健康に悪い」という説があるようです。結論から言うと、白湯が健康に悪いということはありません。
白湯の飲み過ぎによるリスクを強いて挙げるとすれば、病的なむくみのある場合、むくみが悪化する可能性があります。しかし普通に仕事や日常生活を送れている方たちにとっては、デメリットとしてはトイレが近くなることくらいでしょう。頻繁にトイレに立つと仕事に多少差し障りがあるという方もいるかもしれませんが、体にとってはよいことです。適切な水分補給の一環として白湯を飲むのは悪いことではありません。
「白湯の飲み過ぎでがんになる」「免疫力が下がる」といった噂の背景も見てみましょう。
「白湯の飲み過ぎが原因でがんになる」というのはウソ
白湯といっても元々はただの水です。水には発がん性はありません。「白湯の飲み過ぎでがんになるという」説の元は、水道水のトリハロメタンが沸騰させることで濃縮される……といったことを心配して出てきた説かもしれまません。
しかし、水道水の消毒に使用しているトリハロメタンは、一生飲み続けたとしても問題のない濃度です。それくらい微量であってもどうしても気になるという方は、ミネラルウォーターや浄水器を通した水で白湯を作れば、その心配も解消されると思います。
「白湯の飲み過ぎが免疫力を下げる」というのはウソ
白湯の飲み過ぎで免疫力が下がることはありません。元々は水ですから、大丈夫です。そもそも人間の体の60%は水分ということを考えても、水分を摂取して免疫力が下がることはないとわかると思います。
また、正式な文献などで発表されているものはありませんが、人体の構造や栄養学的な視点から考えれば、白湯を飲むとその分水分が補給され、体の中の老廃物などの体外への排泄が進みます。老廃物が適切に排泄されることで、回りまわって免疫力が上がることも期待できるかもしれません。
白湯が制限されるケース……病的なむくみや腎臓病がある場合は医師に確認を
白湯にリスクがあるとすれば、病的なむくみがある人と腎臓に負担がかかっている人の場合です。
病的なむくみがある場合には、水分制限と利尿剤などの薬で治療しますので、多くの白湯で水分を補給することはNGです。通常、1日の飲水量が医師から指示されると思いますので、そちらに従いましょう。
腎臓は血液をろ過して尿を作る臓器ですので、白湯を飲んで尿量が増えると腎臓にも負担がかかることがあります。以前に比べると、最近は腎臓病治療のために水分制限をすることは少なくなりましたが、腎臓病の治療を受けている人は、念のために医師に1日に飲んでよい水の量を確認するほうがよいでしょう。
■参考サイト「腎臓病なんでもサポート」
文:平井 千里(管理栄養士)