Kis-My-Ft2、デビュー10周年特別インタビュー 新たな道を切り開く7人が「絶対に叶えたい夢」
バラエティー番組を中心にテレビで活躍の幅を広げるほか、個人での舞台やドラマ出演、グループとしては毎年のようにドームツアーを行うなど、この10年で着実に成長してきた。
記念すべき年を目前に控えた2020年。3月にアルバム「To-y2」を発売後、春にはドームツアーを行い、10周年に向けて弾みをつけるはずだった。しかし4月に最初の緊急事態宣言が出され、ツアーは中止となってしまった。
ただ彼らは、決して前を向くことをやめなかった。過去のライブ映像を配信したり、史上初となる東京ドームでの無観客の生配信ライブを行ったりと、ジャニーズ事務所所属のグループとしては異例とも言えるインターネットを活用した企画を次々に展開し、エンターテインメントを届け続けた。
なぜ彼らは歩み続けることができたのか。どんな思いで10周年を迎えたのか。北山宏光、千賀健永、宮田俊哉、横尾渉、藤ヶ谷太輔、玉森裕太、二階堂高嗣の7人に話を聞いた。
──2020年はどのような状況だったのでしょうか。
宮田俊哉
正直、最初はショックでしかありませんでした。ライブというエンタメが止まってしまったことは、すごく不安でしたね。楽しみにしてくれていたファンのみなさんや、セットや衣装を作ってくださるスタッフのみなさんにも、苦しい思いをさせてしまっていると感じていました。
藤ヶ谷太輔
ジャニーズにいてエンタメをやっている以上、ファンのみんなに「大丈夫」って言いたいところだけど、僕はあえて不安に思っていることも発信するようにしていました。こういう世の中になって、感じることはみんなと一緒なので。もちろん、ファンのみんなを引っ張っていかなきゃいけない場面もあると思うんですけど。
二階堂高嗣
引っ張り方にも正解があるか分からないし、誰も経験したことのない状況ですからね。
横尾渉
アイドルも人間ですからね。みんなと同じ立場で共感することが大事なんだなって思いました。
──ツアーは中止となったものの、配信という新しい形でライブが行われました。
千賀健永
どういう形であれライブを実現したいというメンバーのみんなの気持ちと、このままでは不完全燃焼というファンのみなさんの気持ちをどうにかできないかなということで、無観客ライブという形でやらせていただくことになって。
玉森裕太
それから配信でしかできない演出や照明だったり、無観客だからこそのアイデアを出し合いました。
藤ヶ谷太輔
例えば僕らの配信だと、録画と生配信のブロックを混ぜたりしたんですが、そういったことは生のライブではできないので。
北山宏光
これからもし生のライブと配信が同時にやれるようになったら、ひとつの会場でやりながら海外の人も楽しめるという、そういう未来もあるのかもしれないですよね。
──ステージには、どのような思いで立っていましたか?
宮田俊哉
これは僕の想像ですが、客席にみんなが居てくれるような感じがして、そのおかげで気持ちよく歌って踊ってトークすることができました。
玉森裕太
会えないからこそ、ファンのみなさんとの一体感がより生まれてたんじゃないかなと思いますね。
──「WEB FES」の開催も、インパクトが大きかったように思います。
宮田俊哉
これをきっかけに僕らのことを知ってくださった方々もいると思いますので、すごくよい企画でした。
千賀健永
若い人たちが映像を目にする機会って、やっぱりスマートフォンが一番多いと思うんですよ。YouTubeを見て新たなアーティストを知ったり、深掘りしたりとか。そういう層に今まで入り込めてなかった感じがするので。
玉森裕太
しばらくライブで直接会えないからこそ、配信や動画は次会えたときのエネルギーになるだろうしね。
二階堂高嗣
ネットだとリアルに数字(再生数)が出るじゃないですか。最初はちょっと怖い気持ちもあったんですけど、みなさんからの評価がひと目で分かる時代になったんだなと思いました。
千賀健永
でも今回、僕たち自身がファンのみなさんの声援を借りて、それをパワーにしてパフォーマンスをしている部分が大きいなということを再認識する瞬間もありましたね。やっぱりあれだけの熱量って、生ものじゃないと生み出せないのかなって。
藤ヶ谷太輔
それをエネルギーにどんな仕事もがんばってこられたところがあるんで。目の前のファンのみんなから応援していただくのは、本当にパワーになる。「エンタメにとって大事なものは何か」ということを、改めて考えるきっかけになりました。
北山宏光
生で見てもらえるエンターテインメントの尊さみたいなものは、僕も今回、強く感じました。やっぱりファンのみなさんが直接ライブを見たときの気持ちって、初恋に近かったりすると思うんですよね。だから僕はネットで知って、それをきっかけに会場で見てほしいというのはすごく感じましたね。
──観客を入れたライブが待ち遠しいですね。
藤ヶ谷太輔
もう2年ぐらいファンのみなさんに会ってないから、キャーキャー言われたいな(笑)。
二階堂高嗣
言われたい(笑)。
藤ヶ谷太輔
でもコロナが落ち着いて、ファンのみなさんと直接会えたときにどういう気持ちになるのか、僕らも本当に想像できないんですよね。お互い何かが爆発しちゃうんじゃないかって。ファンが減ってるんじゃないかっていう心配もあります(笑)。
二階堂高嗣
もういなくなってるんじゃないかって(笑)。
藤ヶ谷太輔
早くみんなに会って存在を感じたいです。それまで当たり前だったことが、そうではないと分かったことで、会えることが何よりも楽しみになりましたし、大事になりましたね。
北山宏光
サブスク解禁は僕らにとってすごくでかいですね。テレビに出て自分たちの楽曲が流れたときに「この曲は何だろう」って気になった人が、すぐに聴けるわけじゃないですか。だから、一気に距離が近くなる感覚があります。
横尾渉
バラエティー番組での僕らしか知らない人や、気になるけどCDは買ったことがない人たちにも、アイドルとしての僕らの曲を聴いてもらえるのはうれしいですね。
宮田俊哉
そういう方々にもカッコいいキスマイを感じてもらって、好きになってもらえたらすてきだなと思います。
藤ヶ谷太輔
僕らは音楽に関しても一生懸命、曲調を考えたり、選曲したりとかしてるんですよね。ライブに来てくださる方には「いい曲多いね」って言っていただけるので、それをたくさんの人に知ってもらえる機会になったなと思っています。
玉森裕太
いつも聴いてくれてるファンの方たちが厳選した曲も配信されるので、僕たちも自信を持って提供できる。キスマイのことをもっと深く知ってもらえるいいタイミングだと思いますね。
──ネットを通した活動が多くなると、ファンの声を直接、目にする機会も増えたのではないでしょうか。
宮田俊哉
スタッフさんから「キスマイがトレンドに入っていたよ」とか「世界トレンド一位になりました!」って伝えてもらえると、自分たちはたくさんの方々に支えられているなと感じます。
千賀健永
僕は結構、自分に対してのマイナスな意見を見ちゃいますね。そういう書き込みをしてくれるくらいコアなファンの人の意見って、めちゃくちゃ勉強になるんですよ。
──どういうことですか?
千賀健永
曲をリリースしたり、ライブをしたりしたときに、やっぱり改善点って絶対あるんです。だから自分たちのことをめちゃくちゃ好きな人がマイナスな意見を言ってたら、次に生かしたいんです。
玉森裕太
僕はSNSは見ないですけど、配信ライブだとチャット欄にその場でいろんな意見が流れてくるので、つながっているんだなと感じましたね。
北山宏光
僕としては、SNSとは良いも悪いもひっくるめてお付き合いしてる感じですね。どちらの声もちゃんと受け止めて、トライアンドエラーしていくというか。アイドルって結構難しくて、近すぎても遠すぎてもダメだし、絶妙な距離で付き合っていかないといけない。
藤ヶ谷太輔
僕らは特にバラエティーで色々さらけ出してきたこともあって、ファンのみなさんとの距離が絶妙ですよね。
二階堂高嗣
昔、事務所の人が「ファンはタレントに似る」と言ってたんです。僕らはメンバー同士も、近いわけでも遠いわけでもなく、いい距離感なんですよ。ファンのみなさんとの関係性も似ていて、すごくいい距離感を築けていると思います。
──メンバー同士の程よい距離感は、どのように培われてきたのでしょうか。
藤ヶ谷太輔
日頃の「ありがとう」とか「ごめんなさい」とか、そういうことがグループとしての活動にも返ってくるんです。デビューしたときは、がむしゃらに自分のことしかできなかったけど、今はこの7人の大切さを強く感じます。
横尾渉
「親しき仲にも礼儀あり」っていう言葉があるように、メンバーにもそうじゃなきゃいけないんだなと思いますね。去年、1回目の緊急事態宣言が出たときに、初めてメンバーと一カ月くらい会わない期間があったんです。それでより一層、メンバーやファンのみなさんへの気持ちが明白になった気がしますね。
玉森裕太
周りにはメンバーがいたし、スタッフさんやファンのみなさんがいて、支えられて今日を迎えられた。それは心強い武器なんじゃないかなって思いますね。
千賀健永
僕たちはグループでやってるから、自分だけの人生じゃないんです。だからグループのために乗り越えなきゃという気持ちになれる。そうやって誰かのためにと考えて気持ちを切り替えれば、乗り越えるきっかけが作れるんじゃないかな。
宮田俊哉
困難があっても「ファンのみなさんに喜んでもらいたい!」とか「もっとたくさんの人に愛されたい!」という気持ちが何より強かったから、後ろ向きになる暇なんてなかった気がします。
横尾渉
僕は「他の人がやってるんだから自分もできる」って考えるようにしてます。今だと「宮田はこの大変なスケジュールで舞台やってるんだから、俺ももっとやれる」とか。あとは、ミスしたとしてもメンバーがフォローしてくれますから。これは逃げじゃなくて、信頼ですね。
──みなさん共通して、強引に気持ちを奮い立たせるわけではなく、自然体で前を向いているような印象があります。
北山宏光
壁を壁と思わないというか、もしかしたらチャンスの側面があるんじゃないかな、と考えるようにしていますね。デビューが遅れたら「その分、練習する時間ができるじゃん」とか、違う山の登り方みたいなものを何か考えるかな。
藤ヶ谷太輔
僕も悩むことはもちろんありますけど、生きてるからだなって思えるんです。足が震えるほど緊張することって、日常ではそうそうないですよね。そんな経験は人生であと何回できるんだろうって思うと、楽しくなってくるんです。涙を流して悩むことで問題が飛んでいくんだったら、いくらでも悩みますけど、そうではないので。
二階堂高嗣
俺もガヤ(藤ヶ谷)に似てて、壁にぶち当たれたことをよかったなと思うようにしています。失敗してる人のアドバイスは聞けるけど、一度も失敗したことない人の話には説得力がないじゃないですか。
千賀健永
やっぱりアイドルって、年齢が若いほうが有利だったりすると思うんですよ。でも僕ら自身、中堅のグループになって、時代も変わってきた。だからどんどん違う側面を出していって、新しく好きになってもらえるように、模索していきたいなと思います。
横尾渉
ジャニーズ事務所がまだ手を出してないことにキスマイが挑戦していって、扉を開けていきたいです。後輩のためにも、新しい道を作っていかないといけないんだろうなと。これからのジャニーズを背負っていくのは間違いなく後輩たちですし。
宮田俊哉
一番の夢は、7人で続けることです。ここ数年、グループで続けることの難しさや大変さを実感する機会が何度かあり、その度に俺は7人で居たいと思いました。シンプルだけど、一番難しいことかもしれません。けれど、それは絶対に叶えたい夢ですね。
北山宏光
7人でまだ見たことない景色を、もっと見たいですね。なんなら俺たちにしかできないことを、これからもやっていけたら、すげえ楽しいと思うので。
藤ヶ谷太輔
漠然とですけど、僕は全部のジャンルをやりたいと思っています。歌と踊りはもちろん、MCもやって、バラエティー番組に出て。他にも映像、芝居、ストレートプレイ、ミュージカル…その全部を網羅してる人って、ジャニーズにもいないんじゃないかな。
玉森裕太
やってないことは全部叶えたいですね。ドームよりもっと大きい会場でのライブだったり、まだまだしたいことはいっぱいあるので。それをお見せしながら、うれしいとか悔しいとか、全部の感情をファンの方たちと共有し合っていきたいですね。
二階堂高嗣
ライブだと毎年やらせてもらってるドームツアーは続けていきたいし、野外でもどんどんやっていきたいですね。個人的には「テレビつけたらいつも出てるな」っていう存在に憧れるので、腕を磨いてそこに近づきたいです。
藤ヶ谷太輔
時間はかかると思うんですけど、どんどん自分を大きくしていって、同時にグループも大きくしていく。そういう循環ができるメンバーが7人いれば、10年後はもっと面白くなってるだろうなと思います。