(本記事は、藏本猛Jr氏の著書『誰も知らなかったラーメン店投資家になって成功する方法』=合同フォレスト、2019年10月10日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
ラーメン店投資の初期費用はいくらかかるのか?
それではラーメン店をオープンするには、具体的にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
一般的なフランチャイズですと1500万~7000万円かかりますが、私がプロデュースしている場合は、300万円からでも開業可能であるとお話ししました。ただ、300万円でできるのは様々な条件がうまく揃ったぎりぎりの予算です。常に300万円でできるということではありません。
比較的現実的な低予算の400万円で見てみましょう。条件として、居抜き物件を利用できることとします。
改装費に300万円(内訳は、看板装飾に100万円、内装補修に50万円、そして最低限の厨房設備に150万円)、物件取得費(物件契約保証金など)として100万円かかります。
これで、10坪で10席ほどのお店を開くことができます。
■自己負担金と賢い借入方法
もし、現在手持ちの資金はないけれども、どうしてもラーメン店投資をしたい人にも、方法はあります。それは、オールリースという方法です。すべてをリースで調達することで、当座の現金が最低額で済みます。
実は居抜き物件専門でオールリースを組む会社があります。手持ちの資金がない人はここを利用して開業する方法があるのです。この居抜き物件専門会社というのは、サブリースを行っているのです。つまり、投資家さんが直接居抜き物件を借りるのではなく、サブリース会社が不動産会社から借ります。それを投資家さんに又貸しします。投資家さんは不動産会社と直接賃貸契約を行いませんので、敷金などが不要になるわけです。
そして、サブリースの費用に工事費や設備投資にかかった費用が60回払いなどの分割で家賃にのせられますので、投資家さんは初期費用としてまとまったお金を必要としません。
ただ、分割払いが続いている間は、たとえば家賃10万円に、分割された初期費用の10万円を加えた20万円を払い続ける必要があります。
結局、月々の返済額が大きくなるため、私は積極的には推奨していません。どうしても資金ゼロで始めたい、という方にのみ紹介している方法です。ただ、サブリース会社は私からの紹介を喜びます。なぜなら、私がプロデュースしたお店は繁盛するためです。つまり、サブリース会社としては安心して回収できるというわけです。
しかし、私はもう1つの方法を勧めることが多いです。
それは、銀行から融資してもらう方法です。銀行から融資を得られる信用がない、という方には、サブリース会社を紹介しています。
ちなみに居抜き物件の持ち主である大家さんにとっては、お店のオーナーと直接賃貸契約を結ぶよりも、サブリース会社との契約を喜びます。これは、オーナーと契約しているとお店が撤退したときに、家賃収入が途絶えてしまうリスクを負うためです。
ところが、サブリース会社はその物件がサブリースされていようがいまいが、大家さんに家賃を払い続けます。ですから、大家さんにとっては空室リスクがありません。このようにサブリースは大家さんにとってメリットがあるため、これは、という優良物件はすでにサブリース会社が押さえていた、ということも多くあります。
その場合は、投資家さんがどうしてもこの物件を使いたいということであれば、やむなくサブリース会社と契約していただくことになりますが、こだわりがなければ別の物件を探して紹介します。ただ、サブリース会社と私は知らない間柄ではありませんので、投資家さんのために賃貸料交を行うようにしています。
■赤字ラーメン店は全部自分で作る。黒字ラーメン店はすべてお任せ
よくテレビで人気のある(またはあるとされている)ラーメン店の厨房の様子が映し出されることがあります。
そこではたいてい、麺やスープにこだわりをもった店長が、選び抜いた材料を使って何時間も、あるは何日間もスープを煮込み、納得のいく味が出なかったら捨ててしまうといったすさまじいまでの味への探求心がドキュメンタリーとして描かれています。
しかし、そのようなお店は実のところ味にムラができやすく、今はテレビで取り上げられるほどの人気があるかもしれませんが、数ヵ月後から数年後には赤字で閉店しているかもしれません。
というのは、あまりに材料費や光熱費、そして労働時間に無駄が生じているため、原価率が高くつきすぎているためです。たとえばスープをお店で一から作っている場合、一晩かけて煮込むといったことをしますので、1カ月のガス代だけで30万円がかかっているなどということはざらにあります。
ところがメーカーが製造したパックのスープを使えば、1時間もあればできてしまうので、比べものにならないくらいコストを削減できます。ガス代はかかっても月額10万円程度です。麺もメーカーから仕入れたほうが断然安くなります。
ただ、チャーシューだけはメーカーから仕入れるより、お店で作ったほうが若干安くなります。もちろん、チャーシューもメーカーに任せることはできます。
このように、何もかもお店で作ろうとすると、大きなコストがかかる割には味が安定せず、かといって売り値は他店との競争がありますからそれほど上げられません。
その結果、赤字になってしまいます。
一方、メーカーに任せたほうが安く上がるところをすべてメーカーに任せているお店は、コストを抑えつつも一定の味を出せますので、黒字が大きくなります。しかも、何をメーカーに任せて何を自店で賄うかについては、プロデューサーに任せれば最も効率が良い組み合わせを決めてくれます。
■あなたのラーメン店のコンセプトを作りましょう
とにかくお店のことはプロデューサーに任せるほうが効率が良いということをお伝えしてきました。しかし、お店のコンセプトについては、投資家さんに一緒に考えてほしいと思います。
確かにコンセプト作りにおいてもプロデューサーが市場調査に基づいて決めていきますが、やはり、ご自身のお店ですから、希望は遠慮なく伝えてください。こんな雰囲気のお店にできないだろうか、あのお店の味を再現できないだろうかなど、できる限り投資家さんの要望を取り入れたコンセプトをプロデューサーとして考えます。そのことで、自分らしさを感じて愛着が持てるお店を作ることができます。
藏本猛Jr(くらもと・たけし・ジュニア)
ラーメンプロデューサー。国際ラーメン協会代表(International Ramen Association CEO)1996年、父親の急死によって、27歳で父親の経営するゴルフ場の社長に就任。その後、ゴルフ場で売れ行きの良かった「ラーメン」に注目し、ラーメン店開業を目標に試行錯誤が始まる。簡単でおいしい、誰でも作れるスープを開発し、スープメーカーからの製品化を果たす。2010年に念願のラーメン店を東京に開業。2014年にラーメンプロデューサーとしての活動を開始する。2019年に国際ラーメン協会を設立。