ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜日夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。今回は2時間SPでお届け!
究極のアジフライに「おいしっしも!」
今回ニッポンに招待したのは、イタリアはミラノに住むキャーラさん。和食のイベントも手掛けているという彼女は、7年前に日本映画のアジフライを揚げるシーンに惹かれ、アジフライ好きに。以来、自ら作るようになったそう。
そもそもアジは、 "美味しくて参った"と人を魅了したことから「鯵」という漢字が当てられたほど美味な魚。アジフライが、高級志向だった洋食ではなく、日本が誇る定番の和食として人気になった理由は、素材が安いため、家庭や大衆食堂で普及したからだそう。
キャーラさんを訪ねると、まずはアジフライを手作りしてくれると言い、地元の魚屋を巡って取り置きしてもらったアジを買い占めます。イタリアでは人気薄なアジは、なかなか店頭に出ず入手もひと苦労だそう。
しかもネットではアジのさばき方が見つからず、独自のやり方で身に穴をあけてしまうことも。世界でも人気急上昇というニッポンのパン粉をたっぷりまぶし、ひまわり油で揚げたフライを囲んで友人たちとアジフライパーティのスタート! キャーラさんの造語「おいしっしも!」も飛び出しました。ボニッシモ(イタリア語で"とてもおいしい")+おいしいで、「おいしっしも」です。
そんな彼女が、ニッポンで一番美味しいアジフライが食べられると評判の「京ばし松輪」で作り方を教わりたいというのでご招待!
初来日となったキャーラさんは、さっそく夢にまで見た「京ばし松輪」へ。開店20分前に到着したものの、限定70食のアジフライ定食目当てにすでに長蛇の列が。2巡目で入店し、おろし醤油に通の味と言われる柚子胡椒もかけ、ニッポンのアジフライを初めて口にしたキャーラさん。サクサクふわふわの食感に感動し、相席した親子の前で、一層テンションを上げて「ボニッシモー!!」
キャーラさんの熱意を伝えたところ、ご主人の田中さんが作り方を教えてくださることに。「京ばし松輪」最大の特徴は究極の鮮度であり、生きた状態のアジをさばくことだ、と田中さん。千葉にある松輪専用の生け簀で数日間の活かし込みを行い、脂がまわったアジをさばいて店に届ける流れや、鮮度を落とさぬための背開き法などを教わり、キャーラさんは真剣にメモしていきます。
さらに臭みを消すために生姜汁をふりかけ、1℃の冷蔵庫で熟成させたり、半生で油から取り出して余熱でふっくら仕上げたり、すべては鮮度の良いアジだからこそ出来る技。この手順を経た揚げたてのアジフライをいただいたキャーラさんは、「ボニッシニッシモ!」「おいしっしも!」と感激しっ放しです。
「わからないことがあれば日本語で手紙をくれれば...」と、田中さんから温かい言葉とお店オリジナルのお酒までいただいたキャーラさんは、何度も感謝を伝えて店を後に。
美味しいアジフライを求め、次に向かったのは大阪。徹底した下処理で絶品のアジフライを出す「弘大(ひろしだい)」のオーナー宮部さんを訪ねました。ちなみに娘の由衣さんは、番組MCの織田信成さんと小学生時代にフィギィアスケートで繋がりがあったことが判明。20年前の写真を見せてもらうと、スタジオにいる織田さんは「知ってるー!」と感激し、由衣さんに当時恋心を抱いていたと明かしました。
さっそく高知県から直送された50cmの巨大マアジの血抜きをはじめる婿の大さん。「弘大」が最も大切にしているのが、この地抜き。これが臭みをなくし、鮮度を保てる技なのだそう。この後、酸化しないようビニールで真空に近い状態にすれば、1週間保存が可能になり、痛みやすいアジの旨味を増すことができるのです。キャーラさんも、「津本式 究極の血抜き」という画期的な血抜きを初体験させていただきました。
さらに、血抜きしたカツオや金目鯛とともに、アジはなんと50秒という短時間でフライに。素材が新鮮だからこそ可能な半生状態の濃厚なフライを試食させていただいたキャーラさんは、宮部さん一家がうなるほどのベタ褒めコメントを展開。
この後、わざわざイタリアの蛇口に合う型の血抜き道具を探して贈ってくださった大さんはじめ、宮部さん一家に感謝の気持ちをたくさんお伝えし、店を後にしました。
続いてキャーラさんは、東京都目黒区へ。ミシュランガイドで11年連続一つ星に輝く割烹「すずき」の店主の鈴木さんが、キャーラさんの熱意を聞いて受け入れてくださったのです。鈴木さんが30年試行錯誤の末に完成したという究極のアジフライとは!?
鈴木さんが使うのは、築地で自ら買い付ける一本釣りのキアジ(マアジの一種)。水分と臭みを抜くため塩を振り、酢に浸すことでふっくらしたアジフライができるそう。食感を良くするために生とドライ、2種のパン粉とパルメザンチーズをブレンドしたオリジナルパン粉を作りそっとまとわせます。パルメザン本場のキャーラさんも、この隠し味には、「やってみようと思ったこともなかった」と目からウロコ。米油と26年ものの銅鍋でそっと二度揚げしたふっくらサクサクのフライに、キャーラさんは大感激!
「アジフライはとてもシンプルなものなのにどうしてこんなに仕上がりに差が出るのか」とキャーラさんが尋ねると、鈴木さんは「(素材を)シンプルに出すことが一番大切じゃないかと思います」と答えつつ、照れ笑い。キャーラさんは、そんな鈴木さんの謙虚さを称え、「本当に気分よく、美味しいものを食べさせていただきました」と涙しました。
別れのとき、鈴木さん手作りのふりかけと佃煮のセットをお土産にいただき、またの再会を約束して次なる目的地へ。まだまだ旅は続きます。
知る人ぞ知る、長崎の高級ブランドアジに悶絶
次の目的地は、長崎県野母崎。長崎が誇る、知る人ぞ知る「野母んあじ」という高級ブランドアジを食べてみたいという願いを聞き入れてくださった、「割烹 大樹の海」の峰さん夫妻のもとへ。峰さんは、自転車の車輪と洗濯機モーターで自作した自動干物マシンで干物まで作るすごい方。とても陽気な方でキャーラさんは本当に楽しそう。
翌朝は峰さんの友人の漁師さんと、野母んあじを釣りに海へ。魚に直接触れるとアジが火傷を負うので、決して触れぬようゴム製の網や釣り針を外す専用器具を使って扱うという徹底ぶり。この日釣った30匹のうち、野母んあじはたった2匹。いかに貴重なアジかを知ったキャーラさんでした。
峰さんがさばいてくださった新鮮な刺身を試食すると、コリコリの食感に感激。続いて、お店で乾燥させたあおさ海苔とあられを衣に使い、サクサクのアジフライも揚げていただきました。あまりの美味しさにキャーラさんは悶絶。
峰さんが計画してくださった、長崎の"青の洞窟"、奥行き80mの「白戸の穴洞窟」の絶景巡りを楽しんだ後は、峰さんの友人宅でキャーラさんの歓迎会。みなさんが用意してくださった野母んあじの料理や店の外で干した干物のほかにも、キャーラさんもお返しにとアジ入りのラビオリやイタリアの家庭料理を作り、ごちそうが食卓にずらり。最高のおもてなしを受け、キャーラさんはまたもや「ボニッシモ」を連発。
別れのとき――。キャーラさんが感謝をこめて手紙を読み上げ、麺棒やパスタマシンをプレゼントすると、峰さんからは自家製の干物や修業時代から30年愛用した和包丁など、大切な物をたくさんいただきました。名残惜しくて、みんな涙が止まりません。それでも笑顔で「チャオ!」と手を振るキャーラさんでしたが、この後、涙が笑いに変わるとんでもないエンディングが...!
「こんな貴重な経験は初めてで、忘れられない最高の思い出です」と語るキャーラさんは、ますますニッポンへの愛を深めてくれたに違いありません。この感動の経験を生かし、イタリア中にアジフライを広めてくれるといいですね! キャーラさん、またの来日をお待ちしております。