海外投資家の主要不動産取引のグラフ。
いま、日本の不動産を購入しようという外国人投資家が再び増えています。特に、中国の富裕層の間では、習近平政権が「共同富裕」を掲げて、格差の是正に乗り出していることを警戒し、資産を安全な日本に退避させる動きもあるようです。再び過熱し始めた外国人による不動産投資の実態を取材しました。
東京・西麻布、約5000万円で売り出されているマンション。部屋では不動産業者がスマートフォンを使い、中国語で室内を案内しています。スマホの向こうにいるのは、上海在住の中国人投資家。オンラインで室内の隅々まで内見していきます。その時間わずか20分。それでも前向きに購入を検討するといいます。一体どんな人物なのでしょう。
「不動産関係の仕事でマーケティングディレクターをしています。年収は900万円くらいです」(上海在住の中国人投資家・張さん、38歳)
数年前から活発だった外国人投資家の日本買いは昨年、いったん下火になりました。しかし、ここにきて再び投資意欲が高まっているというのです。
「中国の不動産はこれ以上値上がりしないと思います。日本の不動産はまだ安い。私の周りでは、日本の不動産を買いたいという人が多いですよ」(張さん)
都内にオフィスを構える神居秒算(GAテクノロジーズ・グループ)。中国人投資家に日本の不動産を紹介する会社です。売れ筋は5000万〜7000万円の都心のワンルームマンション。同社の趙潔社長は、中国政府のある方針も日本買いを後押ししているとみています。
「最近中国で共同富裕という政策があります。特に富裕層に関しては怖い」(趙社長)
習近平政権が打ち出した共同富裕。「共に豊かになる」とのスローガンのもと、格差是正を進めようとしています。中国の富裕層は、この共同富裕を警戒しているのだといいます。
「富裕層としては、自分で頑張って得たものを国に持たれるのは嫌だと。中国では土地が政府のものなので、(海外投資で)子供や孫のために残したい。中国の中等収入以上の客が、海外不動産に関心を持っています。大阪で1棟のビルを買える感覚」(趙社長)
北の大地に外国人投資家の熱い視線
"第二のニセコ"として海外から注目を浴びる北の峰地区。
外国人投資家の熱い視線は北の大地にも向かっています。北海道富良野市の担当者が案内してくれたのは、北の峰地区という人気エリア。"第二のニセコ"として、外国人からも注目されています。地区にある宿泊施設は香港の不動産会社が開発。33戸すべてを中国やアジア圏などの投資家が購入したといいます。
しかし、富良野市はある問題を抱えていました。
「外国人に対して未納が増えてくると、滞納整理していく課題が出てくる」(富良野市の今井顕一税務課長)
日本の不動産を購入したまま、固定資産税などを納めない税金逃れが発生していたのです。
「海外の方が3件。オーストラリアの方ですね」(今井税務課長)
富良野市は、登記簿に記載されている海外の住所に督促状を送っていますが、今のところを音沙汰がないといいます。
「われわれの頭が痛いところです。未納が増えてくるといろいろと対策を考えていかなければならない。そういう部分では懸念材料です」(今井税務課長)
※ワールドビジネスサテライト
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