自宅のオリーブオイルを有効活用できていますか? サラダにかけたり、パスタに和えたりするだけではもったいない! 健康にも美容にもいいオリーブオイルは、用途が幅広く、実は万能な調味料なんです。
生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時28分~放送中)では、毎回さまざまな専門家がレギュラー出演。番組で毎回、簡単かつおもてなしにもピッタリの料理を紹介していただいている料理研究家で栄養学修士の青木敦子さんは、イタリアAIS・AISO認定のオリーブオイルソムリエでもあります。オリーブオイルを知り尽くした青木さんに、オリーブオイルの5つの意外な活用法を伺いました。
食前にスプーン1杯のオリーブオイル
健康にも美容にも嬉しい効果があるオリーブオイル。まずは食前の活用法から。また、"ヴァージンオリーブオイル"と"エクストラヴァージンオリーブオイル"の違いについて先生は次のように説明します。
「食事の1時間くらい前にスプーン1杯のオリーブオイルを飲みます。これによって満腹中枢が刺激され食欲が抑えられるのでダイエット効果があるといわれています。"エクストラヴァージンオリーブオイル"とはオリーブの実100%のジュースで酸度が0.8%以下の最高品質の物、"ヴァージンオリーブオイル"とは、酸度が2%以下でエクストラヴァージンよりも品質は劣るので、どんな料理にも、"エクストラヴァージンオリーブオイル"を使うことをおすすめします」(青木先生、以下同)
イタリアンだけじゃない!和食との相性もバツグン
オリーブオイル=イタリアンと決めつけるべからず! 和洋中どんな料理にも使えます。中でも和食との相性はバツグンの上、食物の栄養をしっかり摂取できるという効果も。
「私は何にでもオリーブオイルをかけちゃうんですよ。豆腐にオリーブオイルとお塩をかけると、大豆の甘味が引き立ってサラダ感覚で食べられます。栄養面でも、納豆、豆腐、味噌汁の味噌などはカルシウムが豊富ですが、オリーブオイルにはカルシウムを吸収するのに必要なビタミンDとビタミンKが含まれているんです。オリーブオイルをひと振りするだけでカルシウムの吸収がよくなるので、骨粗しょう症などの予防にもおすすめですよ。わかめなどの海藻類は、三杯酢やポン酢にすることが多いですが、実はそれだとβカロテンが全部流れていってしまうんです。代わりにオリーブオイルをひとふり加えるだけで、栄養も十分とれるし、磯の香りがフルーティーになるのでおすすめです。それからぜひ試していただきたいのが、塩辛。臭みが和らいで格段に食べやすくなりますよ」
オリーブオイルなら揚げ物もヘルシーに
オリーブオイルはソースやドレッシングだけでなく、料理法も万能だそうです。焼く、炒めるはもちろん、揚げ物に使えばうれしい効果もあると先生は指摘します。
「意外と知られていませんが、オリーブオイルは、揚げ物にも向いているんです。オリーブオイルは、"Punto di fumo(発煙点)"という煙が出て酸化が進む温度が210℃と高いので、揚げ物をしても酸化しにくいのです。性質上、小麦粉などに吸着する量が少ないので、ヘルシーですし、腸のぜん動運動に作用し、早いうちに体内から放出される利点もあるといわれています。ただし、サラダ油などと比べると高価なので、フライパンを傾けて少ない量で片面ずつ裏返しながら揚げるといいですよ。揚げた後のオイルも酸化しにくいので、ドレッシングにしたり、ソースにしたりと活用できます。このとき、肉を揚げたオイルは肉料理に、魚を揚げたオイルは魚料理にかけたり、カルパッチョやパスタ用に使用したりするといいですよ」
お菓子作りではバターの代わりに
料理だけでなく、オリーブオイルはお菓子にも活用できるといいます。バター代わりに使えば体にもよく、食感もサクサクに。
「バターは50~60℃で酸化が始まるので、180℃のオーブンでお菓子を焼く時点で酸化してしまいますが、前述したように、オリーブオイルは210℃まで大丈夫なので、焼いても酸化しにくく体にやさしいのです。使い方としては、たとえばケーキを焼くなら、バターの分量をそのままオリーブオイルに置き換えればOK。クッキーの場合は、固形のバターと違って液状なので少し量を減らして、生地と混ぜながら硬さを調節してください。イタリアの代表的なお菓子"ビスコッティ"は、バターを使わずオリーブオイルで生地を練っているのでサクサクなんですよ」(青木先生)
風邪やインフルエンザ予防、今後は花粉症への効果にも期待
からだにやさしく、栄養成分が豊富なオリーブオイルは、医療面でもさまざまな活用法があると青木先生は言います。
「オリーブポリフェノールの一種"オレオカンタール"は、風邪薬などに使用されるイブプロフェインと同じ効果があるといわれていて、風邪やインフルエンザの予防に用いられたり、花粉症対策の研究も進んでいます。病院でも、風邪をひいた時にオリーブオイルをのどに塗ったり、うがいをしたり、綿棒につけて鼻の中に塗って粘膜を保護したりしている医者の知人がいるほどです」
青木先生のお話により、オリーブオイルの幅広い用途と万能さに驚きました。購入時のアドバイスとしては、「なるべく小さいものを買って、酸化が進む前に早めに使い切ること」だと青木先生は付け加えます。
ちなみにオリーブオイルとひと口にいっても、価格帯が幅広いですよね。これについては、なるべく高めのものを選んだ方が、フルーティーで香りもいいとのこと。ということで、ご褒美にちょっといいものを買うノリで、今日から食卓にオリーブオイルを! 気軽に何にでもかけて、香りと一緒に楽しんでみてください。
青木先生も時々出演する「なないろ日和!」は、今後もあらゆる専門家が出演し、生活に役立つ情報をお届けしていきます。毎週月~木曜9時28分からのOAも要チェックです!
取材協力:料理研究家・栄養士・オリーブオイルソムリエ/青木敦子先生
イタリアAISO認定のオリーブオイルソムリエ。イタリアを中心に40回以上渡欧して各地で料理を学び、料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、栄養学修士として、テレビ、雑誌、料理本、料理教室などで活躍中。「オリーブオイル"冷えとり"レシピ」 (双葉社スーパームック)、「バターを使わずオリーブオイルでつくるお菓子とパン」(扶桑社)、「寝かせおかず: 時間が経つほどおいしくなる まとめて仕込む作りおきレシピ」(誠文堂新光社)など著書多数。
青木先生の最新情報⇒https://ameblo.jp/akoa616/