「軽トラ=荷物置き」の固定概念を覆し、全国に
毎年4月28日の「庭の日」を中心に、全国で造園や緑化にまつわるイベントが開催されますが、その一部の会場では、軽トラの荷台に庭園を造り、完成度を競うという「軽トラガーデンコンテスト」が実施されています。
2017年4月の全国軽トラガーデンコンテストで金賞に輝いた、而今(にこん/茨城県)の「幼き頃の想いを再び…」(画像:日本造園組合連合会)。
イベントを主催する日本造園組合連合会(本部:東京都千代田区)によると、おもに全国の支部でそれぞれ開催されているといるとのこと。近年はSNSで取り上げる人も少なくないようで、「新ジャンルだ」といった声とともに話題になったこともあります。なぜあえて「軽トラ」なのか、同連合会に話を聞きました。
――「軽トラガーデンコンテスト」はいつから開催されているのでしょうか?
2011(平成23)年に富山県の緑化イベント内で実施されたのが最初です。その後、北陸近県に広がり、いまでは全国各地域の緑や技能に関するイベントで開催されています。
――なぜ始めたのでしょうか?
緑化イベントでの集客目的です。もともと軽トラではなく庭園コンテストを実施していたイベントもありましたが、「軽トラの荷台=荷物置き」という固定概念を覆し、来場者の目を引くことができると考えています。
「軽トラ」のきっかけ、やむにやまれぬ事情が…
――なぜ「軽トラ」なのでしょうか?
従来の庭園コンテストは、場所確保のほか、準備や後片付けも会場の都合で作業時間が左右されます。軽トラであれば駐車場でも開催できますし、準備もある程度会社でできるため、コンテストの開催や参加の敷居も下がるのです。
もともとは、従来開催していた庭園コンテストの場所確保が難しく、役員会のなかで対応策として意見が出たのがきっかけです。一方で「狭い空間でも工夫すれば庭が造れる」というアピールにもなります。
――コンテスト出品作の評価ポイントはどのような点でしょうか?
設計、施工、仕上がり、またテーマがあればテーマとの融合性など、業界関係者が総合的に見て評価をしています。来場者に投票してもらう会場も多く、そういった場合は一般の方の心を捉えた作品が優秀作品として選ばれます。
全国軽トラガーデンコンテストで銀賞を受賞した宮城県造園建設業協会青年部「伊達な庭~希望の光~」(画像:日本造園組合連合会)。
全国軽トラガーデンコンテストで敢闘賞を受賞した高橋造園土木(大阪府)「森の住人たちの秘密の場所」(画像:日本造園組合連合会)。
全国軽トラガーデンコンテストで敢闘賞を受賞した、うどん太郎(香川県)「さぬきの森」(画像:日本造園組合連合会)。
――つくった庭園は展示後どうするのでしょうか?
軽トラで会社まで帰れるように、その場である程度解体します。
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日本造園組合連合会によると、2017年4月には、富山県で初の全国大会も開催し、全国の支部から15台の軽トラガーデンが集結、一般からも600人以上が人気投票に参加したといいます。これまでには、海外から取材されたコンテストもあったとのこと。コンテストへの出品から実際の造園工事の受注につながった例もあるなど、実務のPRにもなっているようです。