放送中の連続テレビ小説「スカーレット」(毎週月曜~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。本作では、焼き物の里である滋賀・信楽を舞台に、ヒロイン・川原喜美子(戸田恵梨香)が陶芸家として才能を開花していく姿を描いている。
1月11日に放送された第84回では、喜美子の幼なじみの信作(林遣都)と、喜美子の妹・百合子(福田麻由子)が「結婚を前提にお付き合いをする」ことに。
第89回(1月17日[金]放送)では、2人で川原家に結婚の挨拶をしに行こうとするも、喜美子は夫・八郎(松下洸平)の個展を前にさまざまな問題に直面して思案中。さらに、次女・直子(桜庭ななみ)が騒動を起こし、信作と百合子は結婚すること言い出せなくなってしまう。
今回は、そんな百合子を演じる福田にインタビュー。13歳の姿から演じてきた百合子に成長を感じたシーンや、初々しい恋愛模様が視聴者をやきもきさせている信作と百合子が、今後どのようになっていくのかを聞いた。
母親が『スカーレット』にすごくハマってる
――今回が連続テレビ小説初出演になりますが、反響は感じますか?
普段は両親と仕事の話をしないんですけど、年末に実家に帰省したとき、母親が『スカーレット』にすごくハマってることを知って…。「あれはどういうことなの?」とか、「私はこう思った」とか感想をたくさん伝えてくれて、珍しいなと思いました(笑)。
――福田さんは13歳の姿から百合子を演じていますが、現在の放送では百合子は23歳。10年分演じたことになりますが、あらためて百合子はどんな人だと思いますか?
百合子は、パッと見は普通の子だと思いますが、たくましいんですよね。
周りの状況や、周りの人を受け入れる力がある子だなと思います。百合子は、関わる人がそんなに多い環境にはいないと思うんです。ただ、出会った人みんなを愛する能力が高いなと。そういう、人を受け入れて愛する力がある子だなぁと思います。
百合子と同じようにすごく動揺しちゃいました
――第14週(1月6~11日)で付き合うことになった信作と百合子。福田さんはどのような点を意識して演じましたか?
13歳のときからずっと、信作さんは百合子にとってお兄ちゃんなので、変に“男女”っていう感じにするのはすごく嫌だったというか。まずは、お兄ちゃんと百合子の絆を大事にしたいなと思っていたので、将来のことは気にせず演じていたんです。
それで、(台本では読んでいたはずなのに)すっかり2人が付き合うことを忘れて、私の中で完全にお兄ちゃんになっているぐらいの時期に恋愛が始まったから、「えっ!?」って感じで(笑)。本当に百合子と同じようにすごく動揺しちゃいました。
2人はこれまではそういう関係性だった分、恋愛が進んでいくのがすごくゆっくりなんですよね。単純に恋愛っていうよりも、もっと深い関係から始まっているので、出会って恋をして燃え上がって…というのとは違う形があるように感じます。だから、恋愛のシーンをやろうとは意識せず、信作さんとの関係を第一に大切にしてやっていきたいなとすごく思っています。
――ちなみに、福田さんご自身は信作みたいな人が近くにいたらどんなふうに思いますか?
周りにいたら、大好きになって仲良くもなれると思うけど、結婚ってなると百合子ぐらいの人間力がないとちょっと太刀打ちできないような気がします(笑)。
信作さんは不器用なので、愛情表現とかあんまり上手じゃないですし、本当はこう思ってるっていう「本当は」のところを変に曲がった言い方としたりするんですよ。それを百合子は付き合いも長くて、人を見る目もあるから、すごい分かってあげてますけど、私は「え!?」ってなっちゃうかもしれないですね(笑)。
少しずつ大人になっていってるんだなぁと感じています
――喜美子の結婚や、父・常治(北村一輝)の死などを経て、百合子はどのように変化したと思いますか?
百合子は末っ子ですし、喜美子姉ちゃんがいるからこそ今まで子供らしく振るまえていたんだと思います。
そこから20歳になって仕事もし始めて、大人になったときにお父ちゃん(常治)が病気になって。そのときは、喜美子姉ちゃんたちも一緒の家ではあるけど離れに住んでいますし、本当に近くでお父ちゃんを看病してたのは百合子とお母ちゃん(マツ:富田靖子)だと思うんです。だから、お父ちゃんが弱っていく中で、また一歩大人になった部分があったと思いますし、お父ちゃんが亡くなった後は、「私がお母ちゃんを支えてあげよう」と思うようになった気がします。
さらに、甘える対象だった喜美子姉ちゃんや八郎さんに対しても、百合子と信作さんが2人を気にかけるような描写が増えてきて、甘える妹から、少しずつ大人になっていってるんだなぁと感じています。
――喜美子と八郎の夫婦の関係性も気になるところですよね。八郎さんはSNS上でも人気でしたが、その評判は聞きましたか?
八郎さんの人気は母から聞きました(笑)。松下さんとは別の作品で一度ご一緒したことがあって、最初はその役の印象が残っていたのですが、松下さんは役の関係性をバックヤードでも大事にしてくださる方なので、私の中で一瞬で「八郎さん」になりましたね。
八郎さんに皆さんがハマる理由も分かります。八郎さんは天才肌ではないけど努力家で、すごく人間らしくて、ある意味喜美子姉ちゃんと対照的。ちょっとダメなところとか、創作に悩んで人として弱い部分が見えたりする部分がとても人間らしくて、見てる人が一番共感できる人なのかなと私は思っています。
喜美子姉ちゃんは、やっぱりかっこいい。陶芸においては天才で、ヒロインというよりは、“ヒーロー”としてのかっこ良さがある気がするんです。憧れもあって、素敵だなって思いますし、私も喜美子姉ちゃんが大好きです。川原家は…意外とみんなぶっとんでるじゃないですか(笑)。普通なように見えますけど、実はお母ちゃんが一番ファンキーかもしれないですよね(笑)。
信作さんや照子(大島優子)さんも、それぞれみんな違う方向にちょっと稀有な人達がそろってる中で、八郎さんはそういう意味では一番普通な人だと思うので、見てる方たちの心に一番近づくのは分かる気がします。
とても愛おしい時間です
――第15週(1月13~18日[土])では、久々に直子が信楽に帰ってきて川原家の3姉妹がそろいますが、そういったときの現場の雰囲気はいかがですか?
3姉妹は意外とそろわないんですよね。私が撮影に入ってすぐに直姉ちゃん(直子)は川原家を出てっちゃったので。
3姉妹のシーンもそうですが、家族全員がそろうシーンが意外と少ないので、だからこそ家族全員がそろったシーンは、特別な思いでやってます。お父ちゃんがいた頃でいうと、帰ってきて5人がそろってお雑煮を食べるシーンとか、直姉ちゃんが出ていく前に縁側でスイカを食べるシーンとか。
そんなふうに、現場で家族全員がそろうシーンがなかなかないと、私自身も、実家に帰ったときに「今って特別な時間なんだな」って思ったりするんです。
私の実家では犬を飼っているのですが、犬の寿命ってそんなに長くはないですよね。 今までは家族3人と犬が2匹一緒にいるときに「全員でいる時間だな」って思ったことがなかったけど、芝居の中でそういう思いがあると、全員がそろう時間ってそんなにたくさんあることじゃないんだなと改めて思ったり…。
だからこそ、現場で全員がそろうシーンは、とても愛おしい時間です。
――現場でも劇中の家族の関係に近いんですか?
私は、常に役柄そのままの関係性でいたいので、皆さんを喜美子姉ちゃんとかお父ちゃんとか役の呼び方で呼んでいて、私も百合子とかゆりちゃんと呼ばれています。関係性が変わらないので、お姉ちゃんとかお母ちゃんとかにちょっと甘えているところはあると思います。
――戸田さんは事務所の先輩でもありますが、現場でアドバイスをもらったりすることもありますか?
言葉でアドバイスというよりは、芝居の中で助けてもらっています。こちらがやったことに対して何でも柔軟に返してくださるから、そういう意味で芝居の上でも甘えてる部分がありますね。
第15週(1月13日放送回)では百合子が酔っ払って帰ってくるシーンがありましたが、動きとか何をやっても全部、喜美子姉ちゃんが受け止めてくれるので、もう「どんどんやっちゃえ!」っていろいろやってました(笑)。
あとは、恵梨香さんはヒロインですし、一番大変な立場なのに、それを全然現場で出されないんです。それって、一番の周りへの気遣いだと思うんです。
恵梨香さんが「私はこう思う」って迷いなく言ってくださるから、みんながそれについて行けるので、本当にかっこいいなって思います。
長い目で、温かい目で見ていただけたらうれしいです
――“朝ドラ”に参加してみて、今までとの違いを感じた部分があれば教えてください。
私が今まで経験してきたどの作品よりも長い期間やっているので、こんなに一つの役と長く一緒にいたことが初めてで、すごく幸せです。13歳からずっと演じていけるって、芝居をやっててこんなに幸せなことはないと思います。一人の人生をこんなに長く生きられるっていうのが、めちゃくちゃ楽しいです。
――信作と百合子の関係性は今後どうなっていくのか楽しみにしています。
ありがとうございます。だいぶゆっくり進んでいくので、長い目で、温かい目で見ていただけたらうれしいです。
1月18日(土)放送の第90回あらすじ
直子(桜庭ななみ)の妊娠が偽りと分かる。喜美子と百合子は笑い飛ばして取り繕うも、マツ(富田靖子)は怒りとショックを隠せない。喜美子が直子をさとしていると陶芸展の結果を知らせる連絡がくる。
一方で、八郎(松下洸平)は個展の下見のために上京する準備をしていた。三津(黒島結菜)は、八郎に同行したいと申し出るが、断られる。やがて、下見に出かけた八郎の留守中、喜美子は夫婦ノートに想いをつづる。(ザテレビジョン)